【民泊最前線#1】ホストがBooking.comを選ぶ理由 王者Airbnb時代に変化?

空き部屋を観光客などに有料で貸し出す民泊。日本でもこの民泊が盛んになり始めてから、ホストの部屋の登録先としては、民泊仲介世界大手サイトAirbnb(エアビーアンドビー)が他サイトを圧倒する形で王者として君臨してきました。

しかし今、この王者Airbnbの王者時代に変化の予兆が見え始めているとの声が聞かれてきています。何がその引き金になり得るか。それは宿泊予約の世界大手「Booking.com」(ブッキング・ドットコム)への注目度の急上昇です。

Booking.comはオランダに本社を置くホテル予約サイトの世界大手で、米expedia(エクスペディア)と覇権争いを続けてきました。このBooking.comに今、民泊サービスを提供する日本のホストが注目し始めています。

ではいまなぜ、民泊ホストはBooking.comに注目するようになり始めているのでしょうか。

この記事では、Booking.comのビジネスモデルと優位性・将来性を解説していきたいと思います。キーワードは「合法民泊」「ブルーオーシャン」「客単価」「信頼度」の4つです。

合法民泊ホストに優位性

国会審議が間もなく始まる民泊新法案(住宅宿泊事業法案)がまだ成立していない今、日本の各地方自治体は民泊ホストの違法民泊営業に対して厳しい目を向けています。

一方で、旅館業法(民泊用語集:旅館業法)における営業許可や、「特区民泊」(民泊用語集:特区民泊とは)で合法的に民泊サービスを提供するホストに対しては、行政側もインバウンド消費の取り込みに向け、さまざまな支援を打ち出し始めています。

営業許可を取得するハードルは高い一方で、許可を得て合法的に民泊を行うホストのビジネス環境は、少しずつ整い始めていると言えます。

Booking.comが選ばれる理由も、この許可を得た合法民泊ホストの優位性に関係しています。続いては、このBooking.comにおける合法民泊ホストの優位性と具体的なメリットを説明していきます。

ブルーオーシャン戦略

Booking.comは現在、許可を得て営業する合法民泊施設のみを掲載対象としています。言い換えれば、営業許可を得ていない民泊施設はBooking.comには掲載できない、ということになります。

つまり、違法民泊の物件はBooking.comには登録されていないことから、違法民泊の物件も登録されているAirbnbで自分の部屋を宣伝するよりも、トータル的に民泊物件数が少ないBooking.comを舞台にビジネスを展開した方が競争が激しくない、と判断しているわけです。

「競争相手がたくさんいるAirbnbより、競争相手のほとんどが登録すらできないBooking.comで戦う」。いわゆる、ブルーオーシャン(競合相手のいない領域)での民泊ビジネスの展開という訳です

これがいま、民泊ホストの一部がBooking.comに注目している理由の一つであると言われています。