「大阪を訪れた外国人観光客の19%が民泊を利用した」
大阪観光局は3月28日、関西国際空港で外国人旅行者に対して実施した「外国人動向調査」の結果を発表しました。
この調査は2016年7月から2017年3月に3,909人に実施したもので、このうち19%が大阪での宿泊で民泊したという結果が明らかになりました。
民泊旅行者が全体の19%・・・。
これまで民泊の利用率の高さを裏付けするデータは決して多くなかった中、インバウンド関係者や民泊ホストにとってもこの「19%」という数字は、現在の市場規模と実態を把握する上で、貴重なデータとなることは間違いありません。
いま、大阪の宿泊業界で何が起きているのか。今回の「外国人動向調査」を手掛かりに、大阪の民泊最前線を解説します。
「旅館」追い抜き「民泊」が2位
大阪観光局の15枚に渡る発表資料。その9ページ目に大阪で外国人観光客が利用した宿泊施設別の割合が示されています。
最も多かったのが「ホテル」で56%で、続いて「民泊」が19%で第2位となりました。
「旅館」が7%で3番目となり、「民泊」の利用者数が既に「旅館」を追い抜いていることがわかります。
続いて、国籍別の民泊利用者数をみていきます。
有効回答数3,670人のうち、最も多かった国籍が「中国」で188人で、韓国が174人、台湾が91人と続きました。
その後は、香港(35人)、フィリピン(33人)、オーストラリア(31人)の順番となりました。
この上位6カ国の民泊利用者数の順位は、この調査の回答者の多さと同じ順番となっており、国籍を問わずに民泊の利用者が一定程度いるということを裏付けていると言えるでしょう。
大阪観光局が発表した「外国人動向調査」は大阪観光局の下記のリンクからダウンロードできます。
【外国人動向調査(2016年度 年間)】
http://www.osaka-info.jp/jp/press/images/外国人動向調査(2016年度 年間).pdf
「特区民泊」の活用はまだ伸びず・・・
大阪府と大阪市は国家戦略特区に指定されており、2015年10月に民泊条例が施行されました。
この国家戦略特区の指定と民泊条例に基づいて、大阪府と大阪市では現在、合法的な民泊として「特区民泊」を事業として行うことが認められております。
民泊仲介大手サイトAirbnb(エアビーアンドビー)に登録されている民泊物件は、2017年3月時点で11,845件となっており、都道府県別では全国2位となっております。
前年2016年3月から民泊施設数の伸びも55%と高い数字を保っております。
日本の空の玄関ともなっている関西国際空港があり、食文化などさまざまな観光資源を有する大阪では、今後も外国人観光客は増え、民泊需要はより一層高まっていくと考えられております。
合法民泊の推進を進める行政側は、許可を得ないで民泊事業を展開しているホストなどに対し、旅館業法における営業許可の取得や特区民泊を活用した「合法民泊」への転換を促しています。
大阪府内でAirbnbに登録されている民泊物件は11,845件。一方で、2017年3月時点で「特区民泊」の認定施設数は39件にとどまっています。
政府が閣議決定し、今国会で間もなく審議が本格的に始まるとみられる民泊新法が成立・施行すれば、旅館業法と特区民泊の枠組みに加え、新たな合法民泊の選択肢が生まれます。
その後はさらに、民泊ビジネスを展開するホストは増えていくとみられています。
今回の「19%」という民泊の利用者割合は、国や行政側、ホテル・旅館業界、民泊業界にとっても大きなニュースとなりました。
今後も日本全国で民泊は広がっていくとみられています。民泊大学では最新のデータも基づいた民泊最前線の分析を今後も続けていきます。