民泊と税金。民泊と宿泊税。
シェアリングエコノミーの代表格とも言われる民泊ビジネスが世界的に普及していく中、民泊ビジネスと税(宿泊税)の徴収のモデルについて世界的に議論や訴訟が起きており、宿泊税徴収の動きが加速している。
5月1日、民泊仲介世界大手「Airbnb」と米国サンフランシスコ市との訴訟が和解に至った。この訴訟は、未登録の住居の短期貸し出しを禁じた同市の条例を巡って、Airbnb側が提訴して起きた訴訟だ。
訴訟でやり玉に挙げられた条例というのは、簡単に言えば、民泊ビジネスを行うホストからサンフランシスコ市が「宿泊税」の徴収を適切に行うために、民泊ホストにサンフランシスコ市当局への物件の登録徹底を求めるものだ。
そして、今回のAirbnbとサンフランシスコ市との和解内容を少し強引だがシンプルに要約すれば、「Airbnbが市当局に協力し、市への物件登録をAirbnb側がホストに代行して行う」といったものと言える。
この記事では、今回のAirbnbとサンフランシスコ市との訴訟を事例として参考にしながら、「民泊と税金」について考えていきたい。
市へのホスト登録進まず・・・
Airbnbとサンフランシスコ市との訴訟の経緯は次の通り。(前提として、サンフランシスコ市では2014年10月にAirbnbを合法化する条例が通過しています)
きっかけは2015年2月にサンフランシスコ市で施行された条例だった。端的に言えば「サンフランシスコ市民は住居の短期貸し出しを行う際、市当局に事前に登録申請(費用50ドル)をしなければならない」(=未登録の住居貸し出しは禁ずる)というものだ。
しかしその後、Airbnbなどで自分の部屋などを有料で貸し出す民泊ホストによる登録は進まず、サンフランシスコ市内において民泊物件をAirbnbなどに登録しているホスト約8,000人のうち、実際に登録をしたのは2,100人にとどまっていた。
そこでサンフランシスコ市は昨年の2016年夏、AirbnbやHomeAwayなどに代表される民泊仲介サイトや民泊プラットホーム側に対して、新たな規制を発表した。
それは、サンフランシスコ市に登録していない物件をサイト内で掲載した場合は、1件につき1,000ドルをAirbnbやHomeAwayなどの民泊仲介サイト側や民泊プラットホーム側に課す、という内容だった。その規制の合法性やそもそもの条例を疑問視したAirbnbやHomeAwayが、サンフランシスコ市を提訴したという流れだ。
今回の和解では、Airbnbはホストが民泊物件をAirbnbウェブサイト内においてリスティングする際、Airbnbはホスト合意の上でサンフランシスコ市に登録内容(ホスト名・物件住所など)を提供し、それによって登録手続きが進められるというものだ。