住宅宿泊事業法(民泊新法)が来年6月にも施行される見込みとなった。
法律が成立したのが6月。1年以内という施行期限をたっぷり待って施行する背景には、条例による年間営業日数の短縮や違法民泊の取締り強化などを検討している自治体に考慮したためとみられる。準備には一定の期間が必要だと考えたためだ。
民泊新法の原文をおさらいしよう。
(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)
第十八条 都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。
条例による民泊日数の制限については、第18条に下記のように定められている。第18条によると、民泊の実施日数を制限できるケースは「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるとき」である。
◆北海道、日数制限にいち早く動く
北海道がまず動いた。北海道は先月30日、民泊営業できる区域や期間について議論する外部有識者などによる会議を、札幌市で初めて開催した。来年3月までに条例案を策定して道議会に提出することを目指している。
北海道ではこの会議が開催される以前から、日数制限について内部で検討が進んでいた。そのことは、民泊や旅館業法について管轄する保健所の担当職員などにも先月時点で伝わっており、役所内でも一定の注目を集めていたことをうかがえる。
有識者会議に参加したのは、日本旅館協会北海道支部や北海道観光振興機構、北海道マンション管理組合連合会、札幌市、洞爺湖町の役員や担当者ら。一方、民泊を実施する側の当事者がいなかったことについて疑問を呈する声も挙がっている。
実は北海道は昨年4月に、検討会「地域における新たな民泊のあり方について」を設置して、北海道総合政策部政策部を座長に、民泊をめぐる現状や関係団体との意見交換などを話しあってきた。