SEKAI HOTELは、従来のようにホテルが持つフロントや宿泊を一つの建物で行うのではなく、大阪西九条駅近くにフロントのみを設けており、そこで町中に点在する民泊物件のフロント業務を行い、町全体をホテルに見立てている、いわゆる「クラウド民泊」を運営しています。
今回は、この日本初の取り組みを行っているSEKAI HOTEL運営責任者の山岡さんに話を伺いました。
SEKAIHOTEL 運営責任者 山岡 啓一朗
【プロフィール】
株式会社Otomariに在籍しており、SEKAI HOTELの運営責任者を務める。
大学時代に北京に1年留学した経験があり、商社に就職し3年半勤務したのちに中国語の語学スクールを経営。
「SEKAI HOTEL」の始まりは?
最初にアイディアを出したのはクジラ株式会社の代表の矢野さんでした。
昨年の6月に「SEKAI HOTEL」の構想を聞いて、民泊関連事業を展開していたクジラと語学スクールを運営している私たちでコラボできたらいいのではないかと思い「SEKAI HOTEL」プロジェクトを始動しました。
矢野さんから最初聞いた構想は「街ごとホテル」で、イメージとしては大阪西九条に街家を作るという感じでした。
面白そうと感じたところは?
まず、西九条という土地を選んだという点は大変面白いと感じました。
西九条という場所は関西空港からも直通ですし、大阪の繁華街である難波へも梅田へもアクセスが抜群にいい土地で、どこでもいける利便性の高い立地なのに放置されていたエリアでした。
その主な理由としては、古くからある長屋が多くが点在する西九条では再建築不可のものがほとんどなので、ディベロッパーなどが入って一気に再開発ということもできなかったですし、全く土地の区画整備もされていなかったからです。
また、自分自身10年程不動産に関する経験がありましたし、クジラはリノベーションの会社だったので、そこをリノベーションすれば再利用できるのではないかと思い、大手は戦えないけど中小企業でも戦うことができるというビジネス観点も非常に魅力的だった。
山岡さんが最初に着手したことは?
私自身はそれまで民泊とは全く縁はありませんでしたので、最初は民泊とはAirbnbとはどういったものなのかということを調べることから始めました。
もともとOtomariで民泊を何件かやっていたのでそこで運営の基本やオペレーションを学ばせてもらい、agodaやBooking.comなど色々なOTA(オンライン旅行会社)のことも調べました。
クジラが直接保持している物件も中にはありますが、賃借だけして運用している物件もあります。
大阪の特区民泊でフロントと物件が離れるのは問題ないのか?
フロントから物件まで半径1.1Km以内に設置すれば問題はありません。
「SEKAI HOTEL」の計画を進めるにあたって、狙っている物件を軸にフロント位置を決定しましたた。最初の構想をしっかりとしておかないと次の展開も難しくなってくるので。
具体的にフロントの機能は?
役割としては普通のフロントと一緒で鍵の受け渡しや、サイン、コピーなど通常のチェックイン業務です。
その他の役割としては、フロント設立当初からゲストの方だけではなく住民の方にも楽しんでいただけるようなオープンスペースにしたいと思っていました。
今年6月15日にオープンをしまして、現在は合計5物件を運営しており、年内には10物件ぐらいまでに増やしていこうというイメージです。
着想段階だった昨年6月の時点で2物件狙っている物件があったのだが、その2物件だけのオープンで果たして「SEKAI HOTEL」と呼んでいいものか、また収益的にも難しい状態になるのではないかと不安要素もありました。
そんな中、昨年末には大阪特区民泊の開始の話などもタイミングよく舞い込んできたので、特区民泊と簡易宿所をうまく活用して運営していくという流れとなりました。
フロントは太鼓などを用いたデザインで「和」の世界観で作り上げました。
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