「民泊新法でのスペース貸しのススメ」スペースマーケット代表・重松大輔さん

「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は、株式会社スペースマーケット代表の重松大輔さんです。

重松さんは、2014年に全国の貸しスペースをマッチングする「スペースマーケット」を創業し、2016年1月に設立した「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」の代表理事に就任されています。

現在の事業を始めたきっかけから、今後の民泊業界やシェアリングエコノミーの動きまで、幅広くお話を伺いました。

【経歴】
1976年千葉県生まれ。千葉東高校、早稲田大学法学部卒。2000年NTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーション(PR誌編集長)等を担当。 2006年、当時10数名の株式会社フォトクリエイトに参画し、新規事業、広報、採用などを担当。2013年7月東証マザーズ上場を経験。2014年1月、全国の貸しスペースをマッチングする株式会社スペースマーケットを創業。

Contents

スペース貸し事業を始めたきっかけは?

2014年の1月に起業をしたのですが、その前の半年間は起業のネタを探していました。

前職は写真のビジネスの立上げをしていたのですが、その当時は、平日に結婚式の営業をしていました。そこで、土日はフル稼働しているにもかかわらず、平日の結婚式場はガラガラである現状を知りました。一方で自分たちの会社のセミナールームは土日はガラ空きだったんです。そういった繁閑の差や稼働していない時間を活用して、マッチングできないかと考えていました。

海外のビジネスを調べていたら、「Airbnb」というのがあって、2013年ごろ、ちょうど日本に入り始めていると知りました。「これは来るな」とさらに調べてみると、民泊自体はまだグレーゾーンなので起業でいきなりやってしまうと難しいと思いました。そこで、スペースや会議室の貸し出しなど、その周辺ビジネスは可能性があるのではないかと考えました。

3年前に海外ではオフィス版 Airbnbなどの似たサービスも出てきていたので、最初はスペース貸し事業からスタートさせ、民泊は合法になったタイミングで参入しようと思いました。

当初、日本に競合は存在した?

会議室の貸出しサービスはありましたが、「シェアリングエコノミー」といった文脈ではなく、ただの貸し会議室っていう所は抜けられていませんでした。また、当時は貸し会議室、貸しスペースの「TKP」さんが伸びていましたし、自分たちが参考にしていた海外のプレイヤーは結構伸びていたんです。

他には「軒先」さんは参考にさせていただきましたね。資金調達して一気に事業展開している会社がなかったので、実際サービスを開始してみたところ意外とはまったんです。

事業展開の戦略は?

海外の立ち上がり方やビジネスの特性からしても、ちまちまやっても仕方がないなと思っていました。なので、「スピード勝負」だと考え、資金を調達して一気に展開しました。

―当時は「シェアリングエコノミー」という言葉はあった?

それがちょうど起業したタイミングくらいに出てきまして、それに乗っかって、PRドリブンで進めていきました。国内外のピッチ登壇にも一通り出て、認知を拡大し、資金を集めました。しかし、半年間くらいはきつい時期もありました。ある時、SEOにも効果が見え始め、KPIを達成できるようになって乗り越えることができました。また、世の中的にも「インバウンド」という流れが来ていました。

業界を良くするために「ルール」「法律」などは必要だとも考えていました。

CtoCサービスで最初に抑えるべきはどっち?

提供者(スペースオーナー=ホスト)サイドですね。

お店に来て品物がないとお客さんも帰ってしまうので、まずは品物をそろえることが大切です。また、C to Cは軌道にのせるまでに多少時間がかかるので、B to Bで安心感とブランドを作り、そのサービスが個人でも使える!とC to Cに移行することを行いました。いわゆるBtoBtoCですね。

特に、

・100人のファンをつくる
・写真を綺麗に撮影する

など「Airbnb」の創業ストーリーはかなり読み込んでいました。

日本人は真面目なので

・会議は地味な場所ではなくクリエイティブな場所でも良い
・古民家でもできる!

といった流れをつくり、これまでの既成概念を壊していきました。

結果的に、多くのユニークな物件が集まりました。