「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は、アットマークベンチャー株式会社・代表の大津山訓男さんです。日本IBM事業部長を経てアットマークベンチャー株式会社を起業された大津山さんは、現在、民泊分野に注目し画期的な取り組みをいくつもされています。
今回は、大津山さんが神戸の大学で講師を務める社会人向け『インバウンド民泊』の講義内容をベースに取材し、全5回のシリーズにてお届けします。民泊新法後180日規制で民泊ホストが稼いでいく方法や民泊市場におけるビジネスチャンスなどについて、幅広くお伺いしました。
【経歴】 元IBM2000年コンサルタント日本の100人に選ばれ、主にIT分野の先端企業の支援や海外進出支援をNPO方式で主宰するBeB協議会を1997年より12年主宰。 日本IBM事業部長を経てCCC増田氏、PASONA南部氏、ウェザーニューズ石橋氏、ADKなどの出資で、アットマークベンチャー株式会社を起業。数多くのベンチャー上場支援や海外進出を120社を支援。12社のIPOを成功させる。 東日本大震災以降は社会貢献活動にも注力し、起業を目指す若者やシングルマザーの民泊ホストを支援。「Airbnb」を学ぶ体験型ゲストを迎えスーパーホストとして大田区や福岡、愛媛、京都でコミュニティ組織化。 また、インバウンド業界で積極的に活動し、観光庁や地域観光協会とともに地域活性化に貢献している。 |
「民泊新法」でホストが効率的に稼ぐには?
民泊新法では、年間日数の上限が180日(泊)になることが盛り込まれる見込みです。
これによって、180日以上運営をする場合は「簡易宿泊所のプロ」になること、
180日以下であれば、届け出があれば合法で民泊を運営できるようになりました。
結果的には、営業日ではなく宿泊日数になったので180日でも稼げる人も存在するでしょう。
「Airbnb」の強みは、決済システムを持っていることです。ここで、民泊ホストが「PayPal」などを使って自身で「決済の仕組み」を持つことができれば効果は大きいのではないでしょうか。
現在その方法を始めている人も増えていますので、広げていって欲しいと思います。
外国人旅行者は旅のプランをどうやって考える?
リクルートが公開している「香港、シンガポール、アメリカ、フランスという富裕層の国々の人々が空港で100人ずつ旅前と旅が始まってから情報をどこで得ているか」を調査したデータがあります。
それによれば、北米の旅行者の最初の目的地は「5つ星ホテル」で、その後はバジェットトラベル(低予算旅行)をする傾向が分かりました。なので、2泊は5つ星ホテルに宿泊します。
例として、LCCで九州の空港に入る欧州系は平均14日滞在し、最初の宿は民泊バジェットツアーながら、その後はJR九州の『ななつ星』の120万する豪華九州一周の旅をしたり、体験型民泊に滞在しながらロングステイ型。
一方で、シンガポールの57%の人々は最初からバジェットツアー志向で「Airbnb」を利用して宿泊するんです。 要は日本の旅のゲートウェイ機能を民泊ホストが担う事で、180日規制後の宿だけの提供から旅全体を民泊ホストがキャッシュポイント化する旅のプランを考えるための情報収集は、「1番最初に宿泊した場所で聞く」または「地域の観光案内所で聞く」のどちらかです。
ホストが来日ゲストの国別特性を理解した上で旅全体の手配をすれば規制後も売上維持が可能となります。 以下インバウンド成功地区のLCC特化佐賀空港から有田への「Airbnb」データから考察した事例を紹介します。
どのように民泊ホストは稼げば良い?
有田で「Airbnb」を使って稼いでいる人々の例を紹介すると、上手く稼いでいるホストは「体験型アクティビティー」を提供しています。
九州を一周する旅行者は多いですが、彼らの目的の一つに「お宝探しをすること」があります。
稼いでいる民泊ホストは、2階を「Airbnb」の宿として貸し出して、1階では「有田焼」「伊万里焼」を売っています。場合によっては、ろくろを回して焼き物づくりのワークショップを開いています。
その方法によって、賃貸あたりの利益率が200%を超えている方もいらっしゃいます。
田舎の民泊で稼いでる人はそういった「体験型アクティビティー」を提供しています。
なので、宿泊だけでなくそういった「体験」を絡めた提案を民泊ホストがしていけば、収益がさらに向上するのではないでしょうか。