【第3回講義】「地方で稼ぐ民泊のモデルとは?」大津山訓男さん

長期滞在型の民泊の可能性について

他の可能性として、長期滞在のイベント型民泊があります。

代表例としては、2015年にイングランドで開催されたラグビーワールドカップがあります。このイベントは当時、開催地周辺の田舎地域の民泊市場に80億円規模の経済効果をもたらしたとされております。

2019年には日本でラグビーワールドカップが開催されます。岩手県の釜石市や北海道の室蘭市など全国で予定されていますから、期待できますね。また、2018年には江ノ島でセーリングワールドカップ、2020年には東京五輪が控えています。

また、インバウンド消費においては中国や韓国などからの観光客を重視する傾向がありますが、彼らの多くが2泊3日などの短期滞在です。注目すべきは、欧米諸国の宿泊日数の多さです。

2014年の観光庁調査によれば、訪日外国人観光客平均宿泊数TOP5は、

順位 国・地域 平均宿泊数
1位 フランス 14.4泊
2位 米国 13.6泊
3位 カナダ 13.8泊
4位 ドイツ 13.5泊
5位 英国 13.4泊

となっています。

滞在日数ではアジア地域からの観光客と比べると4倍にもなりますが、現在のインバウンド戦略においてはこれらの国々へのアプローチは十分とは言えません。

例えば、九州でドイツ人を引き込むためにはどうすればいいか…。ドイツ人は、タイの首都バンコクへは年間1,400万人が訪れている一方で、日本には年間80万人しか来ていません。戦略を策定し、実践することが重要です。

来訪者数の違いは何か?

昔からドイツ人は長期滞在をする傾向にあります。マレーシアのランカウイ島などが人気ですね。また最近は、ロシア人も長期滞在を好む傾向があります。

訪日ドイツ人観光客が少ない理由の一つとして、日本には「滞在型リゾート」が少ない事、また、十分にそれらの情報が伝わっていない事があるのではないでしょうか。

日本は、中国や韓国、台湾などへのアプローチには積極的です。今後はドイツなど欧米諸国からの観光客招致に力を入れていくと、さらなるインバウンド観光の盛り上がりにつながっていくのではないでしょうか。