「適法で質の高い民泊を目指す」全国民泊同業組合連合会JASMIN

「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は、全国民泊同業組合連合会JASMIN副代表理事の柿沢 徹さん(写真左)と、参事の室伏 謙一さん(写真右)です。柿沢さんは 一般の住宅宿泊事業者(Airbnb運営)の代表として、室伏さんは元総務省にて行政立法を担当し、政策顧問として参加されています。

業界団体としてはシェアリングエコノミー協会がありますが、一体 JASMIN とは何なのでしょうか。団体設立の経緯や目的、今後の民泊業界のあり方などを伺うことができました。

JASMINとは何か?

JASMINは民泊関連法令に関する政府への政策提言および国民世論形成を目的に設立された全ての民泊関連一般社団法人、NPO、その他団体が結集した連合会です。JASMINは、国に認められた民泊関連の業界折衝窓口です。(サイトURL:http://jasmin.jalf.or.jp/

JASMIN 立ち上げの経緯は?

これまでの社会構造や慣習、法体系にはない新しい経済活動として「民泊」が広まると同時に、既存の業種や地域社会との軋轢が生まれたのはご存じの通りかと思います。

観光立国を掲げる政府としても、民泊の可能性は把握しているものの、それをどのように日本社会の中で可能にしていくことができるか、また法整備に先行して現実に起きている問題をどう解決するか、その手がかりをつかむことができなかったようです。

当時、数多くの一般社団法人が立ち上がったものの、国際交流の一環として民泊を行うホスト、空き家を転貸して利益を追求するホスト、また代行業や不動産投資家のような民泊周辺のビジネスを始める業者など、
多種多様なステークホルダーの声を一つにまとめ、政府と対話・交渉できる窓口となる団体として、政府からの要請で住宅宿泊を主体とした各レイヤーを代表するメンバーを集めた団体を立ち上げることになりました。(柿沢)

どのような方が立ち上げたのですか?

立ち上げは、「財団法人 宿泊施設活性化機構(JALF)」で、旅館業法の規制改革に携わってきた伊藤泰斗さんがまとめ役となり、当時規制改革推進会議で民泊議論を推進していた民泊協会の高橋さんをはじめとする全ての一般社団法人の代表や、僕のような一般ホスト、室伏さんのような政策コンサルタント、また民泊問題に明るい行政書士や弁護士の方などが集結しました。

それぞれがバラバラに活動するのではなく、一つの力にまとまって、政策提言や世論形成をしていこうという問題意識からJASMINが結成されました。(柿沢)

室伏さんは、どういう経緯で参加した?

草創期にある民泊業界の成長・発展に、政治・政策面で関わっていきたいという問題意識から、事務総長の伊藤泰斗氏からの声がけもあって参加したもの。私の政財官での経験が十二分に活用できると考えている。(室伏)

民泊業界の規制緩和をしていくことに共感している?

我々は適法で質の高い民泊を推進している。民泊業界の発展につながる仕組みづくりには賛成であり、今回の住宅宿泊事業法案にも積極的に関わってきたところ。(室伏)

政策に反映させるためには何が必要か?

単なる「べき論」の提言ではなく、具体的な政策に落とし込むことが必要。何を変えればいいのか、何を新しく作ればいいのか、何を無くせばいいのかといったことを、ターゲット、つまり、法令や条文を明確にして、提案を作成することが重要。その上で、どの行政機関と折衝すればいいのか見極め、永田町とも連携しつつ提案を提出すること。(室伏)

では、あくまでベクトルは政策の方?

政策提言の提出等の政府との折衝というのはJASMINの重要なミッションであるが、それだけではなく、政策の実現性を高めつつ、業界全体の発展につながるような世論形成も重要な機能である。(室伏)

これからの新規参入を防いで自分たちが儲けたいという動きなのではないか?

そう思われると大変遺憾です。JASMINは特定のステークホルダーを排除するためでなく、民泊に対する前向きな想いを持つ人達の声をできるだけ包括して、より実際的な政策や、一般社会に大きな影響を及ぼす民泊の実現を目指しています。

そこには、僕のように旅人のコミュニティを大切にする人間や、空き屋問題や地域再生に
取り組んで行きたい人間、また新たな経済活動として健全な民泊を通じて健全にお金儲けを
したい人間など、様々な考えの人達が集まっています。(柿沢)

生活衛生同業者組合のようなものを想定されているのだと思うが、全く違う。あくまでも民泊に関係する分野で第一線で活躍している人たちを中心に集まってきたものであって、特段参入障壁を設けたり、寡占状態を目指しているものではない。(室伏)

業界団体としてシェアリングエコノミー協会が民泊新法に対し意見書を出したが、どう思うか?

我々が提出してきているのは具体的な政策提言であり、法令に実際に盛り込まれることを目的としており、実際に目的を達成しております。他団体の意見書について言及する立場にはございませんが、業界としての単なる意見やべき論を述べるだけ述べて自己満足するメンタリティではありません。(室伏)

※なお、シェアリングエコノミー協会の意見書は下記の記事を参考にしてほしい。

「民泊新法」に対する意見書を公開 シェアリングエコノミー協会

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