「サラリーマン × 民泊ホストのススメ」スーパーホストDさん

「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は、大手IT企業でプロジェクトマネージャーとして勤務しながら、民泊物件を20件ほど運用するスーパーホストDさんです。

Dさんは、自ら運営する民泊物件の運用だけではなく、民泊代行コンサルやセミナー講師としても活躍しています。また、新たに設立された全国民泊同業組合連合(jasmin)の理事も務めています。

今回の「民泊大学」は、Dさんの民泊運用のノウハウのほか、サラリーマンと民泊運営のワークバランス、民泊の今後などについてお聞きします。

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民泊を知ったきっかけは?

5年程前に、アメリカ人の友達に「Airbnb」のことを教えてもらいました。当時、私は都内でミュージシャンとして活動をしながら、ライブツアーで東京に来る海外のバンドマンを毎週のように自宅に泊めていました。 そんな時に耳にした「Airbnb」はとても画期的なサービスだと思い、早速自宅の使用していない部屋で初めてみました。想定以上の楽しさと収入に感動して、周囲の友達にそのコンセプトを説明したものの当時はまだ「民泊」という言葉もなく、まったく理解してもらえませんでした。

今では、民泊も一般的に知られるようになり、何度も泊まってくれるゲストも増え、LINEやFacebookで直接予約連絡をくれて、銀行口座に宿泊料を直接入金してくれる深い信頼関係で繋がったリピーターも増えてきました。

現在の運営状況は?

メインで関東と関西で合計20件ほど運営しており、関西の民泊物件の管理は関西在住の弟に任しています。そのほか、時間の許す限り、民泊系コンサルや、物件の立ち上げ支援、運用代行も行っています。

今年に入ってからは、簡易宿所やゲストハウスの立ち上げ、一棟ビルの特区申請やデザイナーとのコラボ物件などを進めています。物件によりますが1カ月平均で家賃の2〜3倍程度の収益を得ています。

運営において工夫したことは?

大きく3つあります。

1つ目は、極めて効率よく運営する事。サラリーマンをしながら、代行会社を使わず自分で管理しています。そのため、いかに時間をかけずに安心で安全にゲストに楽しんでもらうかを一番に考えています。一度起こったトラブルなどは原因究明に努め、いくつかの再発防止策を考え、二度と同じトラブルが起きないようにしています。また、数十種類あるテンプレートやメール返信自動ツールなどを使って、どんな状況でも余計な手間をかけず適切にゲスト対応できるよう心がけています。

2つ目は、アカウント毎に明確なコンセプトをもたせる事。ターゲットを明確にして、どの国のどの年齢層のどういったゲスト(カップル、家族、一人旅、女子旅等)に向いている物件かをセグメント(客層)分けした上で考えたコンセプトを軸に運営しています。物件によっては、一部のマニアにしかわからないアイテムや、ミュージシャン向けのレコードプレーヤーや楽器を置くなどの工夫をしています。物件のコンセプトに合わないゲストや、期待値が異なるゲストは問い合わせの段階から、別の物件を勧めるなどしてゲストコントロールすることも心がけています。

3つ目は、ゲストが望むものを提供する事。初めて日本を訪れる外国人ゲストと、 10回以上日本を訪れたことがあるゲストでは欲しい情報がまったく異なります。初めての来日であれば誰もが知っている観光スポットの情報を希望するでしょうし、複数回目の来日であれば現地の人しか知らないローカルな情報が喜ばれるでしょう。また、滞在中にホストとの交流を望むゲストもいれば、自身でプランを立てて自由に行動したいゲストもいます。ゲストが、誰と何のために日本に来て、民泊ホストに何を望むかは十人十色。それぞれの希望を到着前から充分にヒヤリングした上でゲストの期待以上のおもてなしが出来るよう心がけています

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