「合法民泊を事業の本流に」TAROコーポレーション 児山 秀幸さん

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その現状に対してどう思いますか?

私は、同じ民泊をするのでも、旅館業の許可や特区民泊の認定を受けて合法化し、しっかり腰を据えて運営できるようにすることが大切だと思います。

非合法で許可をとらずに民泊をする場合、撤退の可能性を考え「半年で初期投資を回収したい」という考えになりがちですが、こうした考え方には無理があります。もちろん、保健所に見つかって本当に早期に撤退しなければならないケースもありますし。

また、「許可物件」と呼ばれている物件は、礼金が3ヶ月だったり、家賃そのものが1.5倍だったりして、コストが高く、事業としては成立させるのは、難しいと言えます。そもそも、「許可物件」という表現に皆だまされていますが、別に行政上の許可を取っているわけではありません。単に、大家さんが良いよと言っているだけですから。その上「代行もセット」で利益が残っているというケースは、ほとんど聞きません。

これに対して、合法で民泊を行うケースを考えると、撤退のリスクがないことが大きいと言えます。非合法なケースと違い、半年で回収などと考える必要はありません。普通の不動産投資と同様に考えると年間利回り5%取れれば合格です。ということは、20年で初期投資を回収すれば、良いわけです。

かたや非合法は半年回収、かたや合法は20年で回収なら、合法民泊なら利益が40分の1でも、十分成立することになります。そこまで低くなくても、年間利回り15%のパフォーマンスを見せれば、そのあたりの不動産投資よりも割が良いという話になるのではないでしょうか。

要は、非合法か合法かで収益性に対する基準が変わってくるのです。合法民泊は、出費や手間はかかりますが、投資しただけの価値があります。

 

「タローズハウス」の立上げについて教えていただけますか?

立上げにかかった時間は約4ヶ月です。

4月に物件を観覧し、5月に保健所や消防署に相談、6、7月に内装や許可といった細かい部分を確認、工事しました。短くすれば、2ヶ月くらいでも可能だったかもしれませんが、不慣れな点や他の物件の準備と重なっていたので、若干時間がかかりました。

オープンまでの問題点は、「自治体によって許可を取れるかどうかの基準」や「物件による個性が違うこと」です。また、許可取れれば良いというわけではなく、実際に観光客を呼び込めるかどうかも考える必要があります。

また、手直しにいくらかかるかを計算しなければ、正確な収支計算はできません。例えば、当初200万円のコストを想定していた物件が実際には500万かかったりもします。タローズハウス鎌倉小町でも、消防署に確認したところ、消防対応で予想外に費用がかかり、自動火災報知機の受信機を変えるだけで100万円以上かかることがわかりました。

「タローズハウス」の反省点としては、「最初のお客さんを獲得するまでに1ヶ月かかった」ことがあります。8月にオープンして、9月にお客さんが来るまで約1ヶ月間がかかりました。そこからは、月6割〜8割ほどの稼働率を保ち、3月は8割にすることができました。スタート後「レビューがない」状態が長かったことや当初撮った「写真」のレベルが高くなかったことが予約が入るまで時間がかかった原因ではないかと思います。

「タローズハウス」が他と違うところは何でしょう?

お客さんとの直接的なコミュニケーションを重視していることです。旅館業者としては、当たり前のことですが、鍵渡しをしっかり対面で行っています。ゲストとの交流も含めてサポートしていく、小さなことでお客さんの印象がガラリと変わってきます。その結果、Airbnbのレビューは全項目5点満点、Booking.comでは9.3と高評価をキープすることができています。

こうしたお客様からの高評価を活かし、最近新しい事業を考えています。

「タローズハウス」基準の合法民泊を全国各地に作り、ブランディング化を進めることです。冒頭でお話したように、当社では合法民泊の立上や運営をサポートしていますが、サポートするだけではなく、タローズハウス基準のノウハウを提供すると同時に「タローズハウス」ブランドで集客して、送客も行おうと考えています。

簡易宿所のフランチャイズを作っていこうという取り組みです。

タローズハウス鎌倉小町 は下記のURLから
https://www.booking.com/hotel/jp/taro-kamakura-komachi.ja.html

鎌倉というエリアはゲストにとってどういう場所ですか?

実は、最近稼働率が上がってきたのですが、予想外の現象が起きています。一般に、AirbnbとBooking.comを使って集客する民泊施設は、9割以上が外国人観光客です。ところが、タローズハウス鎌倉小町は、5割程度が日本人になってきました。もともと鎌倉は日本人に人気のある観光地ですが、海外資本の民泊サイトやホテルサイトを日本人が利用するようになってきたことも大きいと思います。

また鎌倉に来る外国人には一定の傾向があって、初めて日本に来る外国人の方はあまり来ません。日本に住んでいるとか、日本に何度も来ているとか、配偶者が日本人とか、日本自体のことをよく知っている方が多いのです。タローズハウスが迎えた最初のお客様はアメリカ人で、英語を話さねば!と緊張していたのですが、実は日本に30年も住んでいる方で、日本語が普通に通じて、拍子抜けしました(笑)

初めて来る方と言うと、スラムダンクが好きな中国や台湾の方がいらっしゃいます。先週も、日本のドラマや映画を見て、鎌倉に来た台湾のお客様がいらっしゃいました。冬のソナタが流行って、日本人が韓国に訪れたのと、同じ現象でしょう。鎌倉を舞台にしたドラマや映画は多いので、聖地巡礼として鎌倉に訪れる方も多いでしょうね。

今ゴールデンルートと言うと、東京-京都-大阪で、鎌倉は入っていません。伝統的な日本と言うと、京都に行けば良いという考え方です。確かに、京都は伝統的な日本文化が多数残っていますが、基本的に天皇や藤原氏を中心とする貴族や上方の文化です。これに対し、鎌倉は東日本で一番古い都であり、東国武士文化の中心です。日本文化は貴族の文化だけではなく、サムライや武士の文化というものも大きな柱になっています。

昨秋鎌倉の松尾市長にもお話したんですが、伝統的な日本=1つ=京都という考え方ではなく、伝統的な上方文化=京都、伝統的な東国武士の文化=鎌倉という点を強調し、初めて日本に来た外国人も鎌倉に誘導する売り込み方を考えるべきだと思います。侍や武士に関わる”やぶさめ”や鎌倉時代の人々の生活や社会を感じられる施設を作るなど、鎌倉ならではの体験を今後増やしてほしいですね。