「訪日外国人が東京で立ち寄るスタートポイントとなってほしい」清水隆志さん

「雷コンシェルジュ」について教えて下さい

「雷コンシェルジュ」は、”外国人旅行者専門のトラベルコンシェルジュデスク”として、外国人が日本への旅行をより楽しみ、最高の思い出として帰国してもらえるように、外国人旅行者特有のお困りごとを解決するための場所として誕生しました。

具体的には、手荷物預かりや外貨両替、タクシー等の送迎手配などをしています。人力車や着物の着付け、折り紙やたこ焼き作りといった日本体験アクティビティの案内もしており、先日は忍者の格好をして浅草を練り歩くという忍者体験アクティビティで雷コンシェルジュを利用してもらいました。

ゲスト向けコンシェルジュサービスだけでなく、ホスト向けのサービスも提供し ています。外国人旅行者に快適に旅行してもらうためには、ホストが十分カバーできない部分のサポートをすることが必要だと思ったからです。

とにかく、外国人旅行者が日本に来て困っていることを全部解決してあげたい。東京に旅行に来たらまずはここに立ち寄る。ここに来れば何でも揃う。そんな、外国人旅行者のための「旅のスタートポイント」となってほしいと思います。

区や都などの行政機関でも観光案内所を運営しています。施設も大きく、人もたくさんいます。しかし、充実しているように見えて、行政ならではの制約も数多くあるのも事実です。例えば、お勧めのレストラン、個別のアクティビティといったプライベートな紹介をできないことが挙げられます。行政では公共性や公平性の観点から特定のお店の斡旋や紹介ができません。私自身も国の行政機関で働いていた人間として、働いて当時同じような課題を感じていました。公共性と公平性を保つために、本当に心からお勧めするお店の積極的な紹介は難しいのです。

なので、私たちは「民間の観光案内所」として、より外国人旅行者に寄り添った、主観的な目で観光をサポートする存在を目指します。

以前、台東区の観光課の方とお話する機会があり、雷コンシェルジュのコンセプトを伝えたところ、観光案内機能は行政だけで十分まかないきれていないので民間セクターからそういったサービスが出てくるのはとても有難いという言葉をかけて頂きました。

 民泊ホスト向けのセミナーや交流会も開催しており、ホストの交流の場としても機能しています。同時に40人以上が集まる勉強会兼交流会も開催されましたし、数名で集まっての交流も行われています。

外国人観光客向けのサービスをはじめた理由は?

 民泊のホストとして活動している中で、ゲストの困っている声を聞いて、十分に解決してあげられていないと実感していたからです。

物件に宿泊しているお客さんから「チェックイン前、チェックアウト後に荷物を部屋に置かせておいて欲しい。」という要望を受けても応えられないことが多いのです。ホテルや旅館と違ってフロントのクロークスペースがないため、前後に別のゲストが宿泊していると、そのゲストのために部屋を空けないといけないので、荷物を置いておける場所が物件にはないのです。「駅にあるコインロッカーに預けたらいいですよ。」という、通り一遍のいまいちな提案しかあげられなかった。しかも心の中では「駅のコインロッカーは、埋まっていることも多いし、あんまり大きいスーツケースは入らないんだけどね。。。」と感じていながら、そう言うくらいしかできないその状況がもどかしかった。ここで、ホストとしてできるサービスの限界を感じました。

他にも、「JRパスの買い方が分からない」「スカイツリーのチケットを取りたい」「SIMカードを買いたい」など色々な要望があります。それらをそれぞれ叶えてあげたいのと同時に、ワンストップで提供できたらいいなと考えました。しかも、駅から近い場所にそういうセンターがあったら理想的だなと。ただ、いちホストとして、それを実現するのはかなり難しい。なので、自分がホストを代表してそういう場所を作って、他のホストの方もこの場所を利用してもらえたらいいなと思います。自分がホストとして「こういう場所があったらいいな」と思って作ったので他のホストの方も同じように考えている人はいるのではないでしょうか?

それと、民泊のホストがゲストに対して、おもてなししきれない理由は場所的な理由の他にもあると思っています。時間的な制約です。日中は会社で働きながらホストをやっている方も多いですし、ゲストが交流したい時間とホストが時間を割ける時間が必ずしも合致しないのです。宿泊場所の提供以外にも、いろいろおもてなししてあげたいホストの方もいると思いますが、時間が合わないと難しい。

その場合、時間が合わないときは、雷コンシェルジュに代わりを頼んでもらってもいいですし、逆に、自分が都合の良いときに雷コンシェルジュで外国人をもてなすガイドとして遊びに来てもらいたいと思います。自分が都合のよいときにおもてなしできる旅行者は自分の物件のゲストではないかもしれません。でも、自分の都合のよいときに他の物件のゲストをおもてなしする。

これが連鎖すれば「自分が自分(自分のゲスト)のために」ではなく「自分が誰か(誰かのゲスト)のために」おもてなしできれば、時間の都合の合わない自分のゲストも、巡り巡って誰か他のホストがおもてなししてくれるという相互扶助のコミュニティができるのではないかと思っています。

映画「ペイフォワード」ではないですが、他の人への良き計らいが巡り巡って自分に戻ってくるという世界観ができれば素晴らしいことだと思います。雷コンシェルジュはそれを繋ぐ場所として、一種のプラットホームとして役に立てたらと思います。やっている方はお分かりだと思いますが、泊まりにきたゲストとの交流は結構楽しいものです。新しい発見もあり、自分も刺激をもらえます。ただ、そこにある時間を合わせるというハードルを、雷コンシェルジュを活用して乗り越えてもらえたらと思います。