ベンチャー企業の弁護士から見た民泊新法 スペースマーケットに出向中の石原遥平弁護士

石原一樹弁護士による確認訴訟の提起について感じることは?

面白いと思います。私自身が同じことをできるかは別として、そういう発想が必要なんだろうなとは思いますね。

最近お話しした弁護士の方が言っていたのは、法は「守るもの」と言われがちですが、本来ならそもそも法を「上手く使う」ことによって産業の活性化を図ることもできるはずだということです。

日本では、風土として「大企業」対「消費者」という構造が続いてきました。しかし、そもそも法律が想定していない事実が出てくる世の中なので、想定されていない事実や問題が出てきた時に、「違法だからやめる」のではなく、どうしたら適法になるのかを考えることが重要だと考えています。必要であれば法改正を促し、また違法でないと考えられるのであればしっかりと調査をして外部に説明できるようにしてから試してみるとか、そういうイノベーションをもう少し活性化させよう、という弁護士の方々も増えています。

そのような流れの中での、石原一樹弁護士の訴訟ですから、すごいなと思いますね。弁護士が代理人ではなく当事者になるというのもなかなか珍しいので、面白いなと思いました。

新しいことを始める際の確認訴訟という手段

グレーゾーン解消制度という行政を利用した制度があるのですが、理念としては賛同しているものの、現状は少し使いづらい制度になってしまっています。その原因は、官僚が現法律にグレーゾーンのものを当てはめるとき、そもそもそれを「白」だとは言いづらい環境にあるんですよね。

つまり、答えを出す官僚のみなさんは立場が期間限定ですし、「白」だといって何か問題が起きた時に、自分が責任を負うことになってしまう訳です。裁判所も同じです。地裁が確認訴訟でグレーゾーンのものを問題ないと判決してしまうと、高裁でそれがひっくり返されたときに、裁判官の出世競争に勝てなくなってしまうという無言のプレッシャーがかかっているはずなんです。

ですので、石原一樹弁護士が提起した確認訴訟については、弁護士としての挑戦という意味では非常に意義があると思います。もっとも、やり方については他にも様々な方法があると思いますし、彼の行動に敬意を払いながら、弁護士側からもイノベーションを起こすために色々と策を打っていきたいですよね。

 

殆どの民泊がグレーである今、ホスト達は「犯罪者」なのか?

私からすれば、現状の民泊ホストの方々はチキンゲームをさせられている、かわいそうな状態にある「被害者」だと思います。そういう方は是非スペースマーケットで、と言いたいですね(笑)。

いつ刺されるかわからない、儲けすぎたら刺されるのかもしれないが、どれぐらい儲けすぎたらだめなのかもわからない状態。怖いですよね。

民泊には、需要があるのですから、それを供給して儲ける人が悪いとは思いません。民泊新法ができて、180日規制などを守るのであれば民泊を合法でしていいよというのは、現状に対する一つの光だと思います。

 

民泊新法の180日規制導入により、撤退せざるを得ない人たちはどうすればいいのか?

Airbnbで180日、スペースマーケットで185日貸し出すという方法があります。住宅宿泊事業法(民泊新法)も賃貸している住宅をその対象としていることから、残りの期間を貸し出す分には許容されている訳です。365日Airbnbで貸し出した場合と同等に稼げるとまではお約束できませんが、立地と方法によっては、スペースマーケットで民泊運営をされていた時よりも稼いでいるホストさんも実際にいらっしゃいます。立地や写真映え、価格など、稼ぎ方のノウハウは民泊と同じです。今まで本気でAirbnbで稼いでいた方は、スペースマーケットでも十分稼げると思います。

民泊新法が施行されれば、そこからは本当の競争社会になるということだと思います。まだまだスペースマーケットのようなスペース貸しの需要はそこら中に埋まっているはずなので、これからそれを掘り起こしていきたいと考えています。

 

時間貸しで、午後8時に入って、朝6時に帰ることは法律上「宿泊」していることにならないのか

寝具の提供をしていなければ、法律上は「宿泊」に該当しません。
 
 
ネットカフェと同じように、寝具の提供はないが寝泊まりには使えるということ?
 
我々は利用規約で、寝具を使用して施設を利用させる場合には旅館業法許可か特区民泊の認定を提出してもらっており、寝具の提供がない限りは日付を跨ぐ利用も許容しているのが現状です。したがって、現時点では、宿泊施設について許可を得ている物件のみを許し、許可を得ていない物件での寝具の提供を見つけたら、スペースマーケットでの掲載を禁止することにしています。

 

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