【復刻・民泊革命】民泊が開く新時代 筆者・児山氏が連載を振り返る

「民泊革命」という題名について

民泊が日本に来たことで、色々なことが変ってきました。外国人の宿泊の仕方、インバウンド事業への関心の高まり、次々になされる報道、そして政府の対応や新法の制定、70年間変わらなかった旅館業法の改正。約70年骨組みが変わらなかった旅館業法について、民泊の問題を機に「旅館業法はこれでいいのか」と、ようやく気がついて、ついに改正に乗り出したわけです。

ホテルと旅館をくっつけることもそれなりにダイナミックなことですし、政省令レベルの改正でも、1室からホテルを作れることになるなど、法律的な部分での革命があります。

また、「不動産の使い方が変わる」という意味でも「革命」だったと思います。これまで不動産の活用の仕方としては、自分で使うか、賃貸かというのが基本でした。そこに短期で人に宿泊サービスを提供する「民泊」という活用の仕方が加わったわけです。

先ほど申し上げたように、2013年秋の段階で全国に空き家が820万戸あると言われています。これを民泊に回したらいいんじゃないかという声も出ているようです。すると、これまでの日本では新築で何でも作ろうという傾向が強かったのですが、既存の建物を宿泊事業に転用する方が良いのではないかということで、検査済証がない場合の用途変更をスムーズにするためのガイドラインが国交省から出るなど、新築からリノベへという流れが生まれています。

また、宿泊サービスで賃貸の約3倍の売上を稼ぎ出す民泊を見て、多くの不動産会社が宿泊施設の開発・運営に乗り出しました。ゲストハウスも多数作られていますし、例えばファーストキャビンのような新しいカプセルホテルが開発されたりするようになりました。

もちろん、民泊を始めて自分の人生が変わったという方もたくさんいらっしゃいます。少しボケ気味だったけど、外国人と触れ合うことで生きがいを持って生きられるようになったとか、ホームシェア型の民泊をしていて初めて半年ほどしたら中学生の子どもがペラペラ英語を話せるようになっていたとか、生活に困っていた方が経済的に成功されたりとか。本当に民泊ホストの数だけ様々な革命があったとも言えます。

しかし、民泊を運営する方々の話を聞いて、それ以上に大きい1つの「革命」があると、私は感じました。それは、民泊で日本人の「心の開国」が進むということです。

日本人は島国ということもあり、これまで世界に対して心を閉ざす傾向が強かったと思います。国の制度としては、明治に入って鎖国を廃止したはずですが、心の中にはまだ「鎖国」が残っているんじゃないでしょうか。言ってみれば「心の鎖国」です。

21世紀に入り国境のハードルがドンドン低くなり、経済のボーダーレス化が進む中で、世界に対して国を開き、世界の流れの中で生きていくことが必要な時代になっています。

民泊を通じて、日本人が身近な所で外国人とコミュニケーションを取っていくことで、外国人の考え方を実体験として知ったり、英語に対するコンプレックスを小さくしたりすることができるんじゃないかと思います。頭の中でイメージとして、外国人を作るのではなく、自分の目の前にいる人と話した上で、実際の外国人の気持ちや行動をとらえて欲しいんです。

日本人は、1980年代に経済的な成功を収め、それ以降自分たちの技術力や製品の開発力を過信するようになりました。その結果、携帯にしても、家電にしてもガラパゴス化し、世界市場での競争に敗れてしまいました。また、パソコンやインターネットという世界標準になる技術で主導権を取ることができず、かなりの国富を吸い上げられる形になっています。

しかし、もう一度虚心な気持ちで世界の人が何を感じ、何を考え、何を望んでいるかを学んでいけば、日本人はきちんと世界に受け入れられる商品やサービスを作れるはずです。そうすれば、日本経済はもっと成長できます。

新連載に向けて

民泊に関わろうという方は、新しいものにチャレンジしたいという方が大変多くいらっしゃいます。それだけアグレッシブでダイナミックな業界です。

また、ベンチャー企業や大手企業も随分たくさん参入してきて、色々なアイディア、色々な宿泊施設、色々なサービスが、次から次へ新しく生まれています。めまぐるしいスピードで。

生命のカンブリア爆発のごとく、新しいものが次から次へと出てきて、生き残るものもあれば、消えゆくものもあるでしょう。想像のつかない何かがこれからも誕生するかもしれません。

これだけ動きが激しい中で、その先に何が生まれようとしているのか。本当に日本人が「心の開国」をできるのか。

登場する一人一人の革命を通じて、日本全体の革命の姿に少しでも近づけたら良いなと思っています。

***

次回はいよいよ連載第6回を公開!!

連載はこちらから:

復刻・民泊革命 〜執筆・児山秀幸〜

<筆者プロフィール> 児山秀幸(こやま・ひでゆき) 合法民泊やホステル・ゲストハウスなど簡易宿所の立ち上げや運営支援を手掛ける株式会社TAROコーポレーション代表取締役。旅館業法における「簡易宿所」の営業許可を取得した「タローズハウス鎌倉小町」を運営。Facebookグループ「簡易宿所・民泊ビジネス研究会」の管理人。Airbnbや民泊新法、旅館業法、特区民泊、東南アジア民泊、医療インバウンドなどに関するセミナー・コンサルティングも。