「互いに信頼しあう関係を京町家を通して」ワコール様インタビュー

株式会社ワコール(京都市)は2017年5月30日に京町家・古民家を活用した宿泊事業への参入を発表しました。詳細について広報の小松原さん(写真左)と山本さん(写真右)にインタビューを行なってきました。

この度、御社の既存事業とは全く違う宿泊事業に進出した理由は?

現在使われていない古い京町家を、宿泊施設の運用等によって保存・活用することを事業の目的としています。同時に、地域経済の活性化やコミュニティ形成にも役立ちたいと考え、本事業に参入することとしました。

国内のインナーウェア市場が縮小する中、昨年度からスタートした中期経営計画の基本方針でも「事業ポートフォリオ拡大への挑戦」を掲げており、これまでの女性インナーウェアを中心とする事業活動で蓄積してきた無形の強みを活かして、新たな市場や事業領域への拡大へ取り組むとしています。その一環として新規事業社内提案制度を行なっており、今回の宿泊事業はその制度の中より提案されたもののうちの一つです。

メイン事業であるインナーウェアとはまったく異なる事業になりますが、当事業も同じくワコールの企業理念に則った上でしっかりと行なっていきたいと思っています。

どのようなスキームで行うのか?

旅館業の簡易宿所営業を行うのですが、土地や建物を持つという訳ではなく、賃貸借契約で物件をお借りし、その物件を管理・運営する予定です。

また、宿泊施設の内装デザインについては、グループ会社である株式会社ワコールアートセンターと連携して展開していきます。同社は東京の青山で複合文化施設スパイラルを運営しており、多くのナレッジや外部専門家との信頼関係を有しています。他の宿泊施設と差別化できるような内装を施すことができるかと思います。

スタートは来年の4月に数物件のオープンを予定していますが、現段階では宿泊施設名などはまだ決定しておりません。

また、宿泊施設の場所に関しては京都市内の一箇所に集中するドミナント型というよりは京都市内に点在するような形になるかと思います。

集客ではどのような顧客を狙っている?

国内外の観光客をターゲットとしていますが、とくに京都において付加価値の高い経験を望まれている方がターゲットとなると思います。

民泊関連業者との提携の可能性は?

宿泊事業の運営や管理、賃貸借の契約については、自社で担当します。ただ当然足りないところが出て来ると思うので、その部分に関しては既存業者にお願いする可能性はあると思います。予約サイトについては自社で用意する予定ですが、当然、外部のサイトも活用していくつもりです。

行政との連携は?

本事業においてもっとも大事にしている点が地域住民の方々との共存です。そのためには行政ともできる限り連携をとりたいと考えています。対象物件の選定は、地域住民との調和も大前提として基準を設けていきたいと思います。真摯に対応してまいります。

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