「民泊業界、第2期黄金時代の始まり」 株式会社百戦錬磨の上山康博社長

「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は株式会社百戦錬磨の上山康博社長です。
上山社長は2012年に楽天トラベルを退社されて株式会社百戦錬磨を設立しました。
一貫して合法に特化した民泊事業を展開してきた経緯から、今後の展望までお話を伺いました。

民泊との出会いは?

民泊との最初の出会いは、遡ること20〜30年程前に農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動である「グリーンツーリズム」が日本に入ってきた時です。
「民泊」という言葉に関しては、2000年代に民泊仲介世界大手のAirbnbが日本でサービスを開始した時に、私たちがそのサービスを「民泊」と言い出したのが始まりだと認識しています。
そもそも「民泊」というのは昔は、「田舎のおじいちゃんやおばあちゃんが泊めてあげるもの」という非常にいいイメージしかありませんでした。しかし、最近はヤミ民泊による近隣トラブルなどの問題によって、いつの間にか「民泊」という言葉が汚れてしまったというのは残念な事実です。
ヤミ民泊を提供している人たちは、自分たちは儲かっていい思いをしているかもしれませんが、その周りの人たちからすると迷惑でしかない。そしてその結果、「民泊」という言葉の持つイメージが悪くなってしまいました。

民泊を事業として始めようとしたきっかけは?

Airbnbが出現し始めたころは、既にインターネットが普及し始めた時代になっていたので、技術とオペレーションさえしっかりできれば事業としてうまくいくと、その当時から思っていました。
起業当時は民泊サービスにおける日本のプラットフォーマーはいなかったし、もともと前職が「楽天」というプラットフォーマーの会社だったので、プラットフォーマーがどれだけ大きな影響力を持つかは十分にわかっていました。
ただ、いざやろうと思って調べれば調べるほど、民泊を合法的に行う術がなかった。
しかし、目先の収益のために法を破ることはできません。プラットフォーマーの役割として「あくまで場を提供しているだけ」という屁理屈はわかるが、それは責務を果たしていないと私は思っています。そしてまず「できることからやろう」と考え、2つのことに取り組みました。
一つは、法的ルールに則って行うことができる農村の田舎から実際に民泊をスタートすること。もう一つは、都心で合法的に民泊を行うための法律を作ってもらうよう国に働きかけることです。
これだけ世界の人々が日本に来てくれているという状況であり、今後もこの状況が続いていくと考えている中で、訪日を考えている海外の人々にとって「民泊」が必要であることは明確でした。そこで、日本でしっかりとした民泊に関するルールを作るべきだと思い、声をあげて提案しました。その結果、「特区民泊」という枠組みが誕生することにつながったことは嬉しく思います。
「特区民泊」については、実際には「なかなか使いにくい部分もある」という声も聞こえてきますが、ルールが無かったところにルールを作れた、ということに意味があると考えています。
新しく作ってもらった枠組みだからこそ、自分たちが一番最初に許認可を受け、実際に我々が特区民泊を活用するところを多くの方々に見て頂きたかったし、合法的に民泊を行なっていこうとしている方々を支援していきたいという思いが強くありました。

事業が継続できた理由は?

投資家や投資会社が事業に投資してくれたからです。合法民泊をする意義を理解していただいて、将来性に期待して投資する価値を見い出して頂きました。
また、事業会社は自分たちの事業領域との相乗効果があるだろうということを理解してくれて、我々と一緒に組むことで0→1をリサーチでき、事業化できるだろうということで認めてもらい支援があったので、我々はここまでやってこれたと思います。
あとは、法に則っており社会的に見ても筋が通っている手法なので清い資金が入って来ているのではないかと思います。

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