「簡易宿所取得のいろは」楽々プランニング株式会社 代表取締役 辻哲哉さん

「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は、楽々プランニング株式会社 代表取締役社長の辻哲哉さんです。
辻さんは以前野村HDのアセットマネジメント部門に在籍しており、不動産投資に従事していた知識や経験を生かして現在は民泊物件・簡易宿所・旅館の運営代行、旅館業取得コンサルタント、セミナー講師などでご活躍されています。
来年の住宅宿泊事業法による180日規制を控え、簡易宿所を取得するという選択肢を考えているホストが増加の一途を辿っています。
辻さんに簡易宿所の取得に関するノウハウやテクニック、業者選びのコツなどについて詳しく話をお聞きしました。

民泊を知ったきかっけは?

もともとサラリーマン時代に勤めていたときに野村HDのアセットマネジメント部門にいて、光速不動産投資の先駆けのようなことをやっていました。関東地区以外の地方不動産の物件を70~80部屋ほど保有していたました。物件の古さや管理会社等との連携があまり良くなかったこともあり、保有数年後あたりから空室が目立つようになってきて悩んでいました。2014年ぐらいですかね、知り合いのアメリカ人にAirbnbを教えてもらったということが、民泊を知ったきっかけでした。

現在、民泊事業を始めた経緯は?

大きく2つあります。1つめは、不動産賃貸経営で空室問題に悩んでいたこと、加えて現代社会の問題となっている「空き家問題」をどうにかしたいという想いがあったということですね。
2つめは、海外旅行が好きで世界中を旅行していく中で、日本ほど四季折々の自然、美味しい食事、優しく奥ゆかしい日本人の特徴、それらを世界に発信できたらという想いが強かったことです。
「空き家問題の解決」×「日本の素晴らしさの情報発信」、これを同時に実現できるのが民泊事業ではないかと考え、この事業を始めました。

民泊物件の運用に関して、最初は代行業者に任せておりました。ある時に投資家様から物件運営の代行を頼まれて3物件ほど運用をすることになりました。その代行成績が良かったせいか、投資家様が知り合いの投資家様をご紹介いただき、物件数が増えていきました。

当初は運営代行で会社を設立するという意図はありませんでした。サラリーマン時代に広告畑の出身だったので広告代理業や富裕層向けの資産運用イベントなどのサービスをメインに行う傍ら、民泊を自分の法人で片手間に運営していこうというスタンスででした。ところが2016年あたりから民泊ブームが高まるなか、少しずつ民泊の売上のウエイトが多くなり、今の業態になったという経緯があります。

御社のサービスは?

まずは、土地や物件を探し、旅館業(旅館または簡易宿所)取得可能かの調査を行います。これは賃貸でも売買までも同じです。そこで、旅館業取得可能な物件を投資家の皆様にご紹介します。その後、工務店や行政書士と連携しながら、旅館業の申請を進めます。平行して、近隣住民との調整やインテリアコーディネートを行います。特にインテリアの内装と近隣住民との調整には力を入れております。競合が増える中、お洒落でコンセプトあるお部屋を作らないと、集客で苦労するからです。また、近隣住民の皆様のご協力無しには旅館業の運営は難しいです。、2017年8月現在約40件の代行物件を受託、5件の旅館業取得コンサルティングを進行中です。また、旅館業ではないのですが、京都市内の中心部で自社保有のシェアハウス2件を運営中です。
今年の2月ぐらいから簡易宿所取得についての問い合わせなどが多くなってきたと感じています。

また、非合法民泊を運営している投資家で、簡易宿所を取得したいと思っている人たちは思った以上に少なく、どちらかというと不動産投資家からの問い合わせが多いように思えます。
不動産投資は基本的に約1~2割を頭金として払い、残りをローンで払いながら時間をかけて資金回収を行なっていくというような方法になっております。
この資金回収期間を2倍以上に短縮できる破壊的手法が旅館業投資だと考えております。その意味では、不動産投資家が興味を持つのも納得できると思います。
旅館業は、マンションの一室を借りて安易に開始できるものではなく、消防工事や水回り設備増設工事などが必要で、許可取得まで数百万円の費用と数ヶ月の時間がかかります。この点が非合法民泊投資家にとってはアレルギーが出てしまうのかもしれません。
弊社に相談でご来社頂く不動産投資家の皆様も、不動産での利回りの低さに悩んでおり、シェアハウスや旅館業で運営できないかという案件が多いです。

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