「民泊大学」の講義が始まります。今回の教授は、zens株式会社 代表取締役の町田龍馬さんです。
町田さんは「英語を使う人・外貨を稼ぐ人を増やし、日本を元気にする。」をモットーに運用代行会社を営んでいます。
町田さんは、元々はAirbnbホストでしたが、その後民泊運用代行サービスを開始しました。今回は、業界大手の会社へと拡大していくまでの経緯と今後の展望についてお話を伺いました。
民泊との出会いは?
高校時代にニュージーランドに留学した際に留学エージェントが多すぎて、自分で留学先を探すのがすごく大変でした。この体験がきっかけで、gakuse.comというドメインを取得し、留学プラットフォームの開発を行っていました。誰でも簡単にニュージーランドの高校を検索して自分で学校に連絡を取り、留学申し込み、支払いまでを行い、レビューも見れるというようなある種、今でいうAirbnbと近いようなビジネスをやろうとしていました。
このビジネスを構想した頃は、Airbnbを知らなかったのですが、ホームステイとのマッチングもやろうとしていたので、同様のウェブサービスを調べていくと、Airbnbを発見し、このモデルを留学プラットフォームでも参考にしたいと思いました。
このビジネスはうまく行きませんでしたが、自分は人生をかけて本当に何をしたいのかとよく考えたところ、「日本人と外国人を繋いで英語を話す機会と外貨を稼ぐ機会を作って、日本を元気にしたい」という思いに至りました。
その中でAirbnbを活用することで、何かヒントが見つかるのではないかと思い、2013年12月に当時渋谷区にある自宅(戸建て賃貸)をホームステイ型で貸し出しすことを決め、翌2014年1月にAirbnbに掲載し始めます。
当時のAirbnbは、まだ日本語での登録も少ない状態で、また国内の物件登録数も数百件というような状況でした。なので、Airbnbに掲載した際は、思った以上に高い料金で貸すことができ驚きました。稼働率も高かったのですが、2年半ぐらいすると運用代行事業も忙しくなってきたので、あまりゲストとも交流できなくなったので、個人でやっていたホストはやめることに。
話は戻りますが、僕にとって初のAirbnbゲストが、フランスからきた舞台演出家の女性の方だったのですが、非常に素晴らしい方で、自分が海外に留学した時にしかできなかった体験が自宅でできたことに感動し、Airbnbを日本で普及させたいと強く思いました。その思いからAirbnbホストを増やしたいと思い、周りの人に声をかけたのですが、英語が話せないからとかなんか怖いからといった理由でみんなやらなかったんです。
よく考えたら、普段の生活の中で外国の人と話をする機会があまりにもないから、外国人のことがわからない、だから恐怖になるということにつながっていくのだと思います。なので、まずはAirbnbを使って海外から来るゲストと日本人が交流できる場所を作ろうと思い、最初は代行業ではなく、自分で運営するコンセプト型の物件を増やすことに専念。数ヶ月の間に、ゲストと日本人を繋げるイベントを十数回ほど行いました。
コンセプト型物件ですが、単純な部屋にするのは面白いから、建築士、職人、デザイナーとチームを組んでTokyo Art Roomという名前のAirbnb物件を、代々木公園駅近くにオープンしました。2人で一泊一万七千円という価格にもかかわらず、花見シーズンだったということもあり、初日から予約が入り「こんなに早くマネタイズできるのか!」と、これまでのビジネスと比べてマネタイズの早さが衝撃的でした。Tokyo Art Roomには、ブロードウェイの現役のミュージカル女優さんや当時の佐賀県知事などが宿泊してくれました。
そこにきてくれた人たちに、自分の知り合いを紹介したいので、「ミートアップにきてくれませんか」というオファーをしました。facebookでイベントページを作り、イベントを開催しました。イベントに参加してくれた友人の建築士は、日常では英語を話す機会がなかったのですが、そこでイタリア人建築士と出会い、自分の作品をiPadを通じて、イタリア人から「君の仕事はイタリアでも通用する」と言われ、自信をつけ、海外向けにオンラインで自分の作品、実績を公開するようになりました。
このように、人は実体験を通じて自信を得ることができれば、海外とのビジネスにも前向きになると思っています。このイベントは、やりがいはありましたが、実際ビジネスとしてはなかなか難しいものがあったので、ビジネスの基盤を作ってからまたこのようなイベントを開催しようと思い、いったん止めることにしました。