「法律という土俵で民泊の発展に尽くす」許可不要を訴える石原一樹弁護士

今回はなぜ提訴に踏み切ったのですか?

新しいサービスや産業が誕生し、発展していく過程で、法律や政治などの既得権益が「足かせ」となることがあります。

私は新しいもの、イノベーティブなことが大好きで、その「足かせ」を取り払いたいという想いがあります。

この足かせは実社会においては、イノベーションにとっては重荷となることがあります。そして、保健所から例外なく「旅館業法違反だから」と詰められ、諦めざるを得ません。別荘民泊のケースはまさにこれですね。

こういった「足かせ」を取り払う手段の一つに「ロビー活動」があります。でも私は、もっと単純に法律を使ってイノベーションを促進したい、民泊については、本当に旅館業法を適用する必要があるのかを裁判所にアプローチすることで確かめたい、と考えています。

東京と大阪で訴訟を既に起こしましたが、当初は47都道府県で起こせば一大ムーブメントになるのではないかと思っていました(笑)そうすれば国、保健所から「こいつら本気だ」と認識されるからです。

私は決して旅館業法自体を否定している訳ではありません。ただ、民泊を旅館業法に安易にねじ込む必要があるのか、という疑問を持っています。「新しいサービスには新しいルールを作っていけば良いじゃないか」というのが僕の根本的な思想です。

こんな素晴らしいイノベーションが起きているから、これを適切に拡散していくことに役に立ちたいと思いました。そしてたまたま弁護士である自分としては、法律の知識という武器を使って今回、「裁判所の判断を仰ぎましょう」ということになったわけです。

【速報】民泊で「許可不要」弁護士が大阪市提訴

民泊新法についてどう思いますか?

民泊新法は惜しいと思います。

政府が今国会に提出を予定している民泊新法案では、1年の営業日数を上限180日とすること、民泊事業者(ホスト)は届出制、管理業者と仲介業者は登録制とすること、などが盛り込まれています。

しかし、「なぜ180日なのか」「届け出や登録がなぜ必要か」といった本質の議論がされていません。ただ規制したいだけです。規制ありきで「規制する方法」を議論しており、「なぜ規制するのか、どういう規制が望ましいか」を議論していません。去年の「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」も同様でした。

一方で、旅館業法は芯が通っています。戦後に流行していた「結核の蔓延を防止する」という目的があり、そのための施策の一つとして策定され、水洗トイレなどを設置を義務づける条項などが盛り込まれています。

ではなぜ「180日」という数字が出てきたのでしょうか。簡単に言えば利害調整によってです。

民泊反対派(ホテル業界等)の言い分は、「自分たちは規制がんじがらめでやっているのに、なんで民泊は自由にやって良いんだ」ということが出発点です。そして立案側は、その反対派の意見を汲み取って、「365日じゃちょっと駄目だから、利害調整で間をとって180日で」となります。

しかし本来の規制のあるべき論としては、そういった推進派・反対派の組織・団体間の利害調整をするべきではないと思います。利害調整の中心は、ホストとゲスト間で行われるべきです。

旅館業法にはそれがあります。例えば「感染症なら拒否できる」という条項です。それは宿泊者とホテル間の利害を調整しているからなんです。

民泊新法においても、相応の条項がありますが、ホストとゲストの利害調整をしてなぜ「180日」というルールが出てくるのでしょうか。他には、「ホストに賠償責任保険に入る義務を負わせる必要はないのか」や「ゲストが危険人物ではないことを確認するために何が必要か」と言ったことが議論されても良いのではと思います。

民泊の実際のプレイヤーが「ホスト」「ゲスト」「プラットフォーマー(仲介業)」の3者であると認識し、民泊の実態に即した議論を進めていくことが重要です。

民泊や法律に今後どう関わっていきますか?

求められれば規制についての提言などももちろんしていきたいですし、直近の課題としては、目の前で困っている人を助けることができれば良いなと思います。

現在は、たまたま民泊業界で推進していく側で訴訟などを行う弁護士がいないから私が目立っているだけですが、「過払い問題」などでも、ムーブメントを起こしてきた人々はたくさんいます。

民泊分野で、弁護士が活躍できる場が広がり、自分がそのきっかけとなれれば良いですね。

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