民泊で違法になるケースとその摘発事例とは?

 空き部屋を使って外国人観光客などを有料で宿泊させる「民泊」。政府は外国人観光客の需要取り込みなどを目指し、早期の民泊新法の成立・施行を目指しているが、現在は広く合法的に民泊事業を展開できる体制は整っていない。

 2017年2月現在で民泊を行うためには、①「特区民泊」ができる大阪府・市、大田区で認定を受ける②自治体が主体の「イベント民泊」に合わせてサービスを提供する③旅行業法で定められた許可を受ける—のいずれかの方法が原則的には必要となる。

 一方で、法整備がまだ追いつかない中、「違法民泊」「ヤミ民泊」と呼ばれる無許可・無認可の民泊サービスを提供する違法事業者が後を絶たない。

 地方自治体はこういった違法民泊に歯止めをかけるべく、住民からの通報窓口を設置するなどして対応を強化しているほか、警察も違法民泊事業を展開する企業を摘発するなど、捜査に力を入れている。

 本記事では、民泊で違法になるケースと適法になるケース、摘発事例、地方自治体の対策などについて紹介していきたい。

 

▼目次

  1. 適法ケース①特区民泊
  2. 適法ケース②イベント民泊
  3. 適法ケース③旅館業法の許可取得
  4. 違法ケース①許可なき民泊事業
  5. 違法ケース②「誤解」による違法民泊
  6. 増加する摘発事例
  7. 民泊新法における規制は

 

適法ケース①特区民泊

 「特区民泊」とは、国家戦略特区における「民泊条例」が施行されている自治体内で、正式に認定を受けて民泊事業を展開することを指す。

 現在、「民泊条例」が施行されて既に「特区民泊」が合法化されている自治体は、東京都大田区、大阪府、大阪市の3府市区で、北九州市も昨年12月に条例を制定し、今年1月から事業受付を開始している。

 2017年2月25日時点で、東京都大田区では31施設(111室)、大阪府では4施設(6室)、大阪市では35施設(74室)が認定を受けている。

 「特区民泊」における民泊事業の規定としては、宿泊日数は2泊3日以上とされているほか、近隣住民との調整や苦情の受け付け、滞在者名簿の備え付けなどが事業要件として挙げられている。

 各自治体は上記の範囲内で条例でさらに規制を強化することができることとなっている。例えば東京都大田区では、滞在期間は7日以上とされている。

 

東京都大田区の場合>

申請手続きの流れ(区サイトなどによる)

(1)生活衛生課への事前相談

(2)消防署と建築審査課との調整

(3)近隣住民への周知
   【リンク:近隣住民への周知のガイドライン

(4)認定申請と申請手数料(20,500円)の納付
   【リンク:特定認定申請書

(5)書類審査と現地調査

(6)認定可否の通知
   【リンク:特定認定審査基準・添付書類等一覧

(7)事業開始

 また東京都大田区では、特区民泊事業者と特区民泊利用者などを対象に、タオルやシャンプー、タオル、バスタオルの4点セットが入った「銭湯手ぶらセット」を配布する事業を進めている。また大田区内にある銭湯の位置を示した多言語マップ(英語、中国語)も配布している。

東京の民泊事情 特区民泊の最前線「大田区」は今

 

<大阪府の場合>

申請手続きの流れ(府サイトなどによる)

(1)担当部局に実施可能な区域の確認

(2)認定申請と申請手数料(21,200円)の納付

   【リンク:事業に関するイドライン

   【リンク:参考リーフレット

(3)認定可否の通知

(4)事業開始

 

<大阪市の場合>

申請手続きの流れ(府サイトなどによる)

(1)市保健所環境衛生監視課に相談予約

(2)認定申請と申請手数料(21,200円)の納付

   【リンク:申請書

   【リンク:事業に関するイドライン

(3)認定可否の通知

(4)事業開始