大阪の民泊事情 数字から見る「特区民泊の最前線」を独自に分析!

 空き部屋を旅行者などに有料で貸し出して宿泊させる「民泊」。民泊は大きく分けて、「合法民泊」と「ヤミ民泊」に分けられる。

 このうち「合法民泊」に分類される仕組みの一つが、政府に国家戦略特区と指定された地域の民泊条例に基づき、認定を受けて民泊事業を行う「特区民泊」だ。

 特区民泊は2月現在、東京都大田区、大阪府、大阪市などで認められており、関西地域においては大阪府内の指定区域内においてのみ、特区民泊が認められる形となっている。

 本記事では、大阪府内における特区民泊の最前線について解説する。

 

民泊最前線は「大阪市」

 2017年2月23日時点の情報では、大阪府内(大阪市含む)において民泊事業の認定を受けた施設は、39施設(80室)となっている。この39施設の所在地を住所別に調べてみると、次の通りとなる。

 大阪市35施設、守口市1施設、大東市1施設、門真市1施設、藤井寺市1施設。

 つまり大阪市が39施設中35施設を占め、ほかの市町村を抜いて圧倒的に多いということになる。認定施設が存在する守口市、大東市、門真市、藤井寺市はわずか1施設ずつ。という現状から、大阪府内における「特区民泊」の最前線は大阪府ということになる。

 大阪府内にある地方自治体は33市9町1村。では上記5市以外の市町村ではなぜ認定が進まないのか。旅行者の需要なども関係してくる点は複数あるが、一つきちんと知っておかなければならないことがある。それが、「大阪府内すべての地域で特区民泊を申請することができる訳ではない」ということだ。

 

■大阪府内でも違法民泊!?

 大阪府で民泊条例が制定されたのが2015年10月。その2カ月後に、民泊が可能となる区域が決定した。実はこの決定後、「大阪府内であれば、(申請さえすれば)どこででも民泊事業ができる」と勘違いするケースが続いた。

 確かに大阪府の民泊条例であるがゆえ、ついつい「府内全域」と考えたくなる。しかしこの大阪府の民泊条例では、大阪府の33市9町1村のうち、10市では民泊事業で実施できないことになっている。

 なぜ10市で民泊事業ができないのか。

 まず一つの目の理由は、大阪府管轄の保健所施設とは別に、保健所を設置している市があること。もう一つの理由は、民泊申請そのものを受け付けないと決めている市(4市)が存在することだ。

 まず独自に保健所を設置している市は、次の通り。

 ・大阪市(→その後、同時で民泊条例を施行したため、現在は申請可)

 ・堺市

 ・東大阪市

 ・豊中市

 ・高槻市

 ・枚方市

 そして、民泊申請そのものを受け付けていないと決めている市は、次の通り。

 ・池田市

 ・吹田市

 ・交野市

 ・松原市

 このほかの大阪府内の市町村でも、民泊事業が可能な地域が工業専用地域以外だったり、ホテルや旅館の建築が可能とされている地域だったりと、一定の地域制限があることも知っておきたい。