【民泊最前線#10】民泊は犯罪の温床なのか バラバラ殺人、遺体発見、カード偽造… 相次ぐ事件報道と民泊の市民権

民泊施設を現場となった事件報道が相次いでいる。民泊は犯罪の温床なのか。

2018年2月24日、大阪府西成区の「ヤミ民泊」施設で兵庫県三田市の女性会社員(27)のものとみられる頭部が発見された。新聞やテレビの報道では民泊が事件の舞台になった理由について、本人確認をしなかったり、防犯カメラが無かったりするなどによる追跡性の問題を挙げているケースが多い。

2018年3月9日には、東京都世田谷区の民泊施設で30代の外国人とみられる男性の遺体が見つかった。報道などによると目立った外傷は無かったが、警察は事件性の有無も含めて調べている。3月7日には東京都内の民泊施設を拠点にして偽造クレジットカードを作るなどし、ブランド品をだまし取っていたとみられる台湾出身の容疑者2人が逮捕された。

全国で民泊を条件付きで解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)の6月15日施行を控え、各自治体では独自の民泊制限条例の制定についての議論を加速させている。これらの事件は今後の各自治体における議論に一定の影響を及ぼす可能性もある。

では、民泊とは犯罪の温床になるのだろうか。民泊が犯罪現場に利用される可能性はある。冒頭でも触れたがその理由の一つが、本人確認の甘さや防犯カメラが無いケースがあるからだ。

これまで民泊の法整備が進むまでは、民泊について具体的な規制に関する法律は無かった。国は旅館業法が適用されるとしており、旅館業法に則った許可取得や運営をするよう指導してきたが、実質的な民泊に対する法律の制定は民泊の普及に後手を取った。

インターネットや仮想通貨の登場、そして民泊…。新たな経済活動に関する規制については、国側の法整備が遅れるのは社会構造上、常と言えよう。そんな中、民泊新法では、本人確認や宿泊者名簿の管理などについての規定があり、これらは法律として民泊の健全性や感染症や捜査の追跡性の担保することに配慮している。

現在、民泊業界は過渡期ということもあり、大きく分ければ「公認民泊」と「ヤミ民泊」に分かれる。しかし、許可の有無ももちろん重要であるが、これらの必要業務をしっかりと遂行し、犯罪の現場にならないようそれぞれ努めることも非常に重要であることは言うまでもない。

犯罪を完全に防ぐことはできない。しかし「適切に運営する」、このことが、犯罪を民泊から遠ざける一因となり得る。民泊がまだ市民権を得ているとは明確に言えない今、民泊に対する風当たりは強いのは仕方がないこととも言えるが、民泊業界の自助努力によって健全性の向上と民泊の魅力の周知が進めば、より民泊が市民権を得ていく可能性も秘めている。

民泊大学での報道や情報発信も、微力ながらも常に社会に資するものでありたい。その視点を大切に、今後もホストやゲスト、そして社会目線で民泊の最前線に触れていきたいと思う。(民泊大学・編集部)

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