ホテル・簡易宿所の取得を後押しする「建築基準法の改正」とその解説  office OTA.代表/建築士 大田聡  

今回は旅館業の用途変更(住宅から宿泊施設へ)を後押しする建築基準法の改正のポイントを解説します。

社会問題になっている820万戸もの空き家の活用を促進すべく、建築基準法の改正が平成30年(2018年)3月6日に閣議決定しました。

改正の概要は下記の通りです。

・既存建築ストックの活用

[1] 戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下)を他の用途とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする

[2] 用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し

(一部抜粋)

順に解説していきます。

[1] 戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下)を他の用途とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする

ホテル・旅館、簡易宿所などの宿泊施設は特殊建築物という分類に属し、3階以上を有する場合、耐火性能の基準が高い耐火建築物にする必要があります。
ところが、戸建住宅は一般的に準耐火建築物以下の基準に満たない耐火性能で建てているケースが大半で、ホテル等に用途変更を行う場合、耐火性能を上げる工事が必要になります。
しかし、この工事には多額の費用がかかるため、断念するケースが大半でした。

今回の改正で、上記の耐火性能を上げる工事が不要になるため、木造三階建ての戸建住宅を活用する幅が広がったといえます。

[2] 用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し

一般的に建物の用途を変更する際に、役所の手続きが必要になります。

現行法では、用途変更する面積が100㎡に満たない場合、役所の申請を省略することができます。(ただし、変更後の建物が建築基準法を順守していない場合は、改修が必要になります。)

今回の改正で、省略できる変更面積が100㎡から200㎡に引き上げられます。

これによって、役所申請が省略できる建物が増えるだけではありません。

従来は、役所手続きを行う場合は、検査済証の提出が必要になります。 しかし、検査済証がないケースが多く、検査済証がない場合はそれに変わる調査等が必要になります。 場合によっては建物を建てるときに行う確認申請の書類を復元しなくてならないケースもあるため、コスト的に断念せざるをえないケースがありました。

今回の建築基準法改正で、今まではじかれていた戸建住宅が見直され、改修されうる空き家の分母が大幅に広がり、ホテル・旅館や簡易宿所などの旅館業取得のハードルが下がるのは間違いありません。

参考:「建築基準法の一部を改正する法律案」を閣議決定(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000708.html

大田聡 / 建築士 
office OTA.代表。空き家を研究し、活用方法を考えるAKIYA STOCK立ち上げ人。
空き家の活用をテーマにしたイベント(古民家、不動産、民泊、音楽、コミュニティetc)を
去年より開催している。