福岡の民泊物件は1年で2倍!ホテル不足で市も積極姿勢

福岡県で民泊が盛り上がりを見せています。外国人旅行者の増加やホテル不足を背景に、民泊仲介大手サイト「Airbnb」に登録されている民泊物件数は1年で2倍に増え、福岡市も民泊推進に向けて条例改正による規制緩和をするなど、積極的な姿勢を示しています。

なぜ福岡県で、これほどまでに民泊が盛り上がっているのか。その理由を探ります。

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2016年1月4日。気温が16℃まで上昇し、冬の寒さが少し和らいだ福岡市。

高島宗一郎市長(41)はこの日、新年最初の市長会見ということもあり、1年の主な行事を主な発表内容にし、新聞社やテレビ局などの報道陣に向き合いました。

2月にオープンする新成果市場、港湾の再開発事業「ウォーターフロントネクスト」、ライオンズクラブの世界大会・・・。

 

高島市長は「日本海側に位置し、アジアに最も近いのは福岡市」と強調した上で、「今年は『圧倒的福岡時代を創る』その端緒となるような年にしたい」と、声を上げて話しました。

 そして記者会見の後半、正確には会見が始まってから18分ごろから、高島市長は記者の質問に答える形で、民泊について持論を述べました。

 

高島市長「福岡はドリルの刃」

実は福岡市はこの記者会見の前月、つまり2015年12月に、人気グループ「嵐」「EXILE」の公演や福岡モーターショーの開催による宿泊施設の不足を解消するため、個人が行う「民泊」を施行していました。

高島市長は記者からこの「イベント民泊」について聞かれ、まず、東南アジアからのインバウンド観光が増え続ける中、「福岡は圧倒的な圧倒的なホテル不足」と指摘しました。

そして今回の取り組みに対する評価として「(民泊の参加数は)数的には非常に少なかった」と説明した上で、「(ホテル不足の解消に向けて)民泊という手段も、もちろん有効だと思います」と語りました。そして、高島市長はある言葉を口にします。

「福岡の役割というのは、『ドリルの刃』になること」

高島市長は今回のイベント民泊は、行政が関与した民泊として全国でも新しい社会実験だったと強調。「全国へ広げる前に福岡がまず一歩踏み込む」。そんな想いを口にしました。

時間にして約5分。インバウンド観光や民泊について話した高島市長のこの思いは、その後、民泊の規制緩和に向けた旅館業法施行条例の改正として、形になっていきます。

 

民泊推進へ条例改正、協会設立

全国の地方自治体の中でも、民泊を推進する方向で取り組みを進めていた福岡市は、早い段階から注目を集めていました。

そんな中、福岡市は合法的に民泊事業を行うためにネックとなる「旅館業法」の細かい施行ルールを定めた「旅館業法施行条例」を改正しました。そして、2016年12月1日に施行されました。

具体的な緩和内容としては、民泊運営に適しているとされる「簡易宿所」の運用における、フロント設置義務の緩和や客室・脱衣所の面積の例外規定などです。

そして今年2017年2月18日には、福岡市博多区の福岡商工会議所で、一般社団法人「九州民泊協会」の旗揚げ式が行われました。福岡市において民泊が健全に普及していくことが目的で、九州における民泊団体の設立としては初となりました。

講演会やセミナーの開催を通じた民泊に関する情報提供、民泊事業における雇用拡大、地域や行政との対話を活発化させる、民泊トラブルなどの対応に、力を入れていくとしています。