【民泊ニュース徹底解説①】世界最大級のホテルチェーンであるマリオットが民泊市場に参入!

世界最大級のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナル(本社・米ベセスダ/アーン・M・ソレンソンCEO)は2018年4月23日、高品質な施設を掲載した民泊仲介サイト「Tribute Portfolio Homes」を開設し、民泊事業に参入したことを発表した。まずイギリスの首都ロンドンを拠点にサービスを展開する。サイトには既に約200施設が掲載されている。

マリオットグループはグループ傘下に、ザ・リッツ・カールトンやシュラトンなど世界の名だたる29のブランドを有しており、127カ国・地域に宿泊施設6500カ所を展開している。

同グループはこれまで「Tribute Portfolio Hotel」というブランド名で、都市圏外にある独立系ホテルなどを紹介するプログラムを実施してきた。今回のTribute Portfolio Homesはその「民泊版」としての位置付けとみられる。

Tribute Portfolio Homesでは民泊物件の検索や予約が可能で、民泊仲介世界大手Airbnbが今年になって取り組み始めた「Airbnb Plus」のような、ラグジュアリーな宿泊施設を取り扱っていることが特徴だ。

専任の担当者が民泊物件を事前視察し、厳選した宿泊施設のみを取り扱っている。1ベッドもしくは2ベッドルームの1泊価格は200〜250ユーロほど(約2万6000〜3万3000円)という。

ロンドンに本社を構える民泊運営代行会社Homemakerと6カ月間のパイロットスキームにて提携し、サービスを提供する。同社はヨーロッパを中心に1500件以上の物件を取り扱っており、宿泊施設のデザインから清掃、民泊サイトでの運用などのサービスをワンストップで提供している。

Tribute Portfolio Homesでは、ゲスト滞在時には24時間年中無休のカスタマーサポートを提供し、24時間いつでもチェックインを受け付ける。ゲストの要望に応じて迅速に動けるサポート体制を充実させることで、よりゲストの満足度を高めることを目指す。

マリオットグループの会員制度「マリオット・リワーズ」やマリオット・インターナショナル傘下のスターウッドホテル&リゾートが提供する会員制度「SPGメンバー」であれば宿泊するとポイントが貯まる。

今回発表したサービスの競合となるのは、この記事でも取り上げた「Airbnb Plus」やフルサービスを強みにした最高級物件などを掲載する「Beyond by Airbnb」であると考えられる。

Airbnb PlusでもTribute Portfolio Homesと同様に物件の事前審査・視察が行われ、デザイン性や機能性を兼ね備え、100項目以上の品質基準を満たした宿泊施設が認定を得ることができる。ホスト評価が星4.8以上であることが求められ、おもてなし品質の高さも期待できる。

Airbnb Plusの詳しい内容は、「Airbnbホスト10年で収益4兆円 新グレードAirbnb Plus、4.8つ星以上の「神対応」など売りに 2028年までのロードマップ発表|民泊大学」でも説明している。

マリオットホテルの従来のファン層に加え、幅広い層にも民泊施設での上質な体験をしてほしいという思いが伺える今回のサービス。マリオット側は「Tribute Portfolio Hotelで経験できるような(高品質な)体験をホームステイ型の民泊施設でも得ることができるだろう」とコメントしている。

ロンドンでの成功次第ではAirbnbを脅かす存在になるのかもしれない。今後の動向に注目が集まる。(民泊大学研究生・受田宏基)