世界最大級のバケーションレンタルサイト「HomeAway(ホームアウェイ)」と全国古民家再生協会、楽天グループの民泊部門を担う楽天LIFULL STAY株式会社の3者は6月4日、古民家を民泊に活用することで古民家の認知・価値の向上や観光活性化を目指す取り組みを共同で行うことに合意した。同日、東京都内で記者会見を開いた。
ホームアウェイは予約サイト上で、全国古民家再生協会の安全基準などをパスした古民家を「鑑定済古民家物件」として紹介し、世界各国からのサイトの閲覧ユーザーに物件をPRする。楽天LIFULL STAYは古民家物件の開発支援と運用を担う枠組み。古民家の鑑定は協会認定の古民家鑑定士が担当し、耐震性や機密性、快適性など20項目に関して評価を行う。
ホームアウェイは今年4月、米国や英国、豪州、香港などの7カ国を対象にした古民家利用意向調査を実施した。調査によると、家族・グループ層の90%以上が古民家宿泊に興味を持っていることが分かったという(回答数は18歳以上、1021人)。3者は訪日外国人が古民家滞在に魅力を感じていることを踏まえ、全国各地に外国人旅行客を一層送客することを目指す。

全国古民家再生協会はまた、同日の記者会見で「古民家オーナーズクラブ」を設立したことも発表した。これは一軒の古民家を共同所有する枠組みを提供するもので、古民家オーナーになることの費用負担を軽減することで、より多くの人が古民家を所有していくことを目指している。会員はほかの会員の古民家にも宿泊することができ、古民家の利活用が進むこともねらっている。
ホームアウェイの木村奈津子日本支社長は記者発表で「(全国古民家再生協会の調査によると)全国に点在する古民家は約128万戸。同協会はそのうち64万件以上が民泊に利用できる」と語った。また、「ターゲットとなるファミリー・グループ層が旅行に求めることトップ3として「団らん」「休憩、リラクゼーション」「食事」である」という調査結果も明らかにした。加えて、ホームアウェイは住宅宿泊事業法(民泊新法)への対応として行政書士サービスの会社との提携や、サイト上で民泊新法や旅館業法、特区民泊などの許可情報の入力の呼びかけし、対応していない施設に対してはアラートを出すなどを行うと発表した。

民泊業界では住宅宿泊事業法(民泊新法)が来週金曜日の6月15日に施行されるのを控え、民泊仲介世界大手のAirbnbが観光庁の通達に従って無許可物件を一斉非掲載にするなど、注目が集まっている。
2018年は民泊が解禁される「民泊元年」とも呼ばれ、今後も民泊関連のニュースへの関心が高まりそうだ。