住宅宿泊事業法(民泊新法)施行前に、観光庁の仲介業者への通知によって突然始まったAirbnbの掲載物件消し込み。海外メディアは日本のこの状況や民泊新法について「諸刃の剣だ」「日本もパリと同じように、Airbnbとの戦争に突入した」などと報じている。
欧州系旅行メディアでは、フランスの首都パリでAirbnbが違法物件の約4万2000件が無登録だとして、これらの物件を削除するよう市政府が規制に乗り出していることを触れ、日本で8割のリスティングが非掲載になったことと類似した状況にあると報じた。
シンガポール最大の新聞「ザ・ストレート・タイムズ」は、世界大手通信社の仏AFPの配信記事を引用し、日本の民泊新法が「a double-edged sword(諸刃の剣)」だと報じている。2020年開催の東京五輪で短期民泊需要が高まる中で、宿泊ビジネスを妨げる可能性があるとしている。
シンガポールにおいては、政府は規制緩和と規制強化の両輪で民泊に対する取り組みを進めている。一方で規制緩和といっても、建物区分所有者80%以上の合意で短期民泊許可する内容など、決して民泊実施事業を営みやすい環境とは言えない。また裁判で違法民泊ホスト2人に罰金計約1000万円を課すなど、法令遵守に厳しい姿勢を示す。
海外メディアでは、日本でAirbnbで既に予約した民泊施設に泊まって良いのかどうか、などをテーマにした記事も散見される。民泊ホストに対しても同様の問い合わせが増加しており、キャンセルにつながるケースもあがってきている。今後こうした流れが一層加速する可能性もある。