旅館業法や住宅宿泊事業法(民泊新法)の許可を取得しているのにも関わらず、周辺住民からの反対で民泊の実施を再検討せざるを得ない状況が起きている。許可を取得しても民泊を営む権利はないのか——。事業者やホストの間で波紋が広がっている。
通常、事業者は旅館業法の許可を得るために、事前に自治体の保健所や建築課、消防などと調整をすりあわせを行い、法令に適合する改修計画や建築計画を立てて施設の準備を行う。実際に改修や建設をしたあとに、許可が下りないなどの事態を防ぐ意味もある。
しかしそうした許可を得る目途もつき、既に資金を投資して建設を開始したあとだとしても、民泊中止を余儀なくされる「リスク」にさらされている。それが周辺住民からの反対だ。
京都府中京区では、あるゲストハウスに対する開業反対の署名運動が起きている。
このゲストハウスは旅館業法の許可を得ているものとみられるが、町内側は「海外ではテロの犯人が民泊に滞在していた事実もあります」「1つ民泊を許したら◯◯◯町内に民泊が増えて、昔から住んでいる私達住民の生活を脅かす可能性があるからです」と貼り紙に書き、計画反対の署名活動への協力を周辺住民に求めている。
法令的に問題がなくても、住民の反対で小規模な宿泊施設や民泊を営む権利が脅かされても、それは問題が無いのだろうか——。こんな声も事業者側からは挙がる。資金を投じたあとの開業断念は、事業者側にとっては致命的な問題となる。今後、議論が膨らみそうだ。
Airbnbの予約・掲載をめぐる議論や特区民泊の有用性など、さまざまな論点がある民泊業界。今後もこうした新たな論点が続々増えていくとみられる。