住宅宿泊事業法(民泊新法)の枠組みにおける民泊事業者の届出件数が、1日百数十件程度であることが2018年6月29日、明らかになった。また京都市がこれまでに、民泊事業者については「届出制」から「許可制」に移行するよう求めていたことも分かった。
東京都千代田区の明治大学駿河台校舎で同日開催された公開シンポジウム「民泊について考える」(主催:地域マネジメント学会)で、観光庁観光産業課の鈴木貴典課長が基調講演の中で明らかにした。
鈴木課長は届出数が現在全国で3700件程度となっていることに触れ、「以前は6万件ほどあったのに少ないという批判がある」と指摘した上で、「今は1日当たり百数十件ほど届出がされているので、今は過渡期」と語った。民泊の届出件数は6月8日時点で2707件だったので、約3週間で約1000件ほど増えたことになる。
民泊新法の施行や民泊仲介世界大手Airbnbにおける予約削除騒動については、予約を削除した理由についてや法律不遡及の原則に反するのではないか、という声などが上がったことを説明した。
その上で、新法が施行される6月15日以降に予約サイト側が違法民泊に利益供与をする点を問題視したことや、違法な民泊へ泊まることのゲスト側の気持ち悪さ、法律の信頼性そのものが揺らぐことなどの観点から、予約削除について通知するに至ったことを述べた。
予約を強制削除されたゲストが日本で困ることは考えなかったのか、という趣旨の視点については、「合法の宿泊施設を扱うサイトにヒヤリングを行い、Aribnbへの予約数を十分補う数の合法宿泊施設があるという結果が得られたので踏み切った」と説明した。
また鈴木課長は「今回の決断によって民泊ホストが慌てたため、届け出が急増した」と説明。自治体に対しては、上乗せ条例は厳しくしないようお願いしているという。
民泊新法が施行された日本。旅館業法における簡易宿所や特区民泊など民泊を営む方法が多様化している中、民泊そのものに対してもさまざまな声がある。規制枠組みを作る政府や省庁、地方自治体が今後どう対応を進めていくのか、注目が集まっている。