不動産業界の”鬼謀”…TATERU炎上は氷山の一角 顧客の融資資金調達へ残高改ざん SEO対策でIT集客し成長

民泊運用やアパート施工・管理などを手掛ける株式会社TATERU(本社:東京都渋谷区/代表者:古木大咲)が炎上している。顧客が不動産融資を受けることができるよう、顧客に代わって用意した銀行提出用の資料の中で、預金残高を約23万円から約623万円に水増ししたことが明らかになったからだ。この資料は銀行に提出され、融資を受ける寸前まで手続きが進んでいた。

TATERU社は2006年1月23日に設立。最新の数字では正社員(連結ベース)は484人おり、資本金は72億7200万円に上っている。事業内容は子会社を含めると、IoTアパート経営「TATERU Apartment」やIoT民泊運用(=子会社の株式会社TATERU bnb)、不動産投資型クラウドファウンディング「TATERU Funding」など。

約600万円の水増しは、不動産融資を受けることを希望していた男性が融資承認を既に行っていた西京銀行(山口県周南市)に問い合わせを行ったことで判明した。TATERU社は謝罪として100万円を男性に支払っているという。TATERU社はほかにも改ざんがないか現在調査中。

TATERU社は創業期、SEO(インターネット検索エンジン最適化)対策に力を入れて集客を行い、IT運営の提案によって顧客を増やしていった。2011年に「実質無借金経営」となり、2015年12月に東京証券取引所マザーズ市場(東証マザーズ)、2016年12月に東京証券取引所市場第一部(東証一部)へ上場市場を変更した。2018年4月1日に社名を「インベスターズクラウド」から「TATERU」に変更している。

不動産会社が顧客の残高水増しによって融資を成立させ、取り扱い物件を増やす手法は、TATERUだけに限らない可能性もある。こうした問題について「氷山の一角だ」という見方をする専門家もいる。TATERU炎上は不動産業界を巻き込む問題に発展する可能性がある。

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