独立した国税としては27年振りとなる新税——。出国税だ。正確には「国際観光旅客税」と呼ばれ、日本で1月7日から導入がスタートした。
出国税の導入は2018年4月11日の国際観光旅客税法の成立で決まっていた。日本を出国する旅客に対し、出国1回当たり1000円の負担を求めるもので、原則的には航空会社側を通じて徴収が行われる。年間の税収は約430億円を見込んでおり、観光基盤の拡充と強化が目的だ。
出国税の導入の背景には、安倍政権が観光を成長戦略の柱や地方創生の切り札と位置付け、2030年6000万人の訪日観光客数の目標などを掲げていることがある。より高次元の観光施策を展開するためには安定財源が必要との認識の下、観光庁で検討が進められ、法案提出、国会での審議・可決を経て、交付・施行に至った。
出国税にはいくつかの論点があった。いくつかのポイントを紹介したい。
まず、日本人と外国人の両方から徴収するのか、それとも日本人は免除するのか、という点。これについては検討会で、租税条約の「国籍無差別」条項との関係上、日本人と外国人の両方に等しく負担を求めることが前提との意見があった。
また1000円という税額については、近隣アジア諸国における類似の税が1000〜2000円程度であることや、円滑な徴収には税額を一律にした方が良いという意見が検討会や業界などから多かったことなどが反映した。
また、国際観光旅客税は基本的には、出国だけではなく、出入国という行為に着目して負担を求めることであることが法の趣旨であることも覚えておきたい。
報道などでは出国時に徴収することから「出国税」と当初から報道されているが、あくまで出入国に着目した税制だ。観光庁が「出国税」ではなく、「国際観光旅客税」という名称をつけた理由もここにある。