Airbnbと渋谷の地元有識者が、渋谷の観光課題についてトークイベントを開催【レポート】


民泊仲介サイト大手Airbnbが、昨日4月9日、今年1月に設立させた「新しい渋谷の観光を考える会」と共に、以下の公開トークイベントを開催した。
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イベント名:「奥渋から考える渋谷の観光」
日時:  2019年4月9日(火) 20:00~21:30(会場19:30)
主催:渋谷の新しい観光を考える会
協賛:Airbnb
会場: SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS
登壇者:
「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」代表 福井盛太氏
渋谷区観光協会事務局長 小池ひろ氏
訪日外国人向けメディアMATCHA インバウンド戦略部 カオ氏
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トークイベントでは、渋谷の観光課題にフォーカスしながら、渋谷の中でもカルチャーに特徴がある「奥渋谷エリア」を例に渋谷の新しい観光についてトークセッションが行われた。

Airbnb Japanの長島淳史氏は「昨年夏の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行以降、法令順守に取り組んできましたが、より地域の観光課題にしっかりと向き合い、どう貢献していくかが重要と捉えています。今日は地域の有識者をお迎えして地域課題に向き合いたいと考えています」とイベント開催の主旨を説明した。

渋谷の抱える観光課題について、一般財団法人渋谷区観光協会事務局長小池ひろよ氏は「スクランブル交差点には1日30万人がいらっしゃいます。ただ滞在時間が短いということが課題としてあります。また、新宿に比べて圧倒的にベッド数が少ないということも滞在時間の伸び悩みにつながっています。奥渋谷は、まだガイドブックに載っていない、福井さんのお店やアーティスト、クリエーターなど発信力のある人が集まっていて、流行の発信源になり得るという感じがあります。歩いて楽しめる回遊ルートを作りたいですね」と話されました。奥渋谷に店をかまえるShibuya Publishing & Booksellersの福井盛太氏は「10年程前まではこれほど奥渋谷は盛り上がっておらず、今のように周辺の人たちが足を踏み入れる場所になるとは考えていませんでした。今では個性的な店が増え、そこを訪れる方も様々な個性が混ざっているのが面白いと考えています」と奥渋谷について語った。

また宿泊問題について小池氏は「宿泊の選択肢にホームシェアがあっていいと考えます。ごみの分別や地元のルールはウェルカムインフォメーションを整備するとか、地元の人も困ったときに立ち寄れる地域サロンのようなものがあってもいいのでは」と意見を述べた。訪日外国人観光客向けメディア『MATCHA』のインバウド戦略部統括マネージャーシーソンクラムカオ氏は「訪日外国人の観光の仕方は国によって様々です。例えば台湾の方は毎月のように通っていておしゃれなカフェなどいきつけがあり、日本人の週末のように過ごす人も多いです。ヨーロッパの方は一生に一度と考えて、日本を感じたいという欲が強く、体験を重視され職人の工房を好まれたり、例えば着物体験もポリエステルのものではなく本物を感じたいという人が多く”日本人を体験する”という気持ちがあります。ただ泊まるだけではない体験につながるような『ホームシェア』は需要が多いと思います」と語った。

また、外国人の受け入れに懐疑的な地元の商店街などについてカオ氏はお店の人は外国人のことはわからないことだらけでNGという方が多い。いまでは便利なアプリもあるし、既存のツールを活用してほしい。奥渋谷には、沢山いい宝石が眠っているので、点と点を線でつなげられるような取り組みが重要と思う」と話されました。福井氏は「奥渋の観光は、色々な人が外部から来ているので、それを受け入れてきた街としてのソフトは確実にブラッシュアップしてきていると思う。より人が来やすい、楽しみやすい街になっていければ」と意見を述べた。

モデレーターを務めたシブヤ経済新聞の西樹編集長は「渋谷の駅周辺は再開発ですごい勢いで変わっています。その渋谷と対照的に静かに変わっていく風情のある奥渋というのは新しい価値になっていくと考えます。これから新しい体験ができる場が増えてくるといいと思います」と回を締めくくった。