「生まれ変わることで活気」、銀座ではNG? カプセルホテル建築規制の是非

東京都中央区の銀座1〜8丁目でカプセルホテルなどの建築制限が行われ始めてから、既に1年半が経とうとしている。訪日外国人の増加によって需要はあるものの、街の景観が損なわれることに対して地元の商店街が声をあげ、区側がその声などを聞き入れてこうした措置がとられたと当時報じられた。

この規制の内容は「地区計画の変更について(銀座地区)」という書類で確認することができ、添えられている説明が下記だ。

「銀座地区は古くから商業・業務が集積し、日本を代表するショッピング街として長い歴史を有しており、銀座らしい街並みを商業機能の更新と併せて未来に継承することが重要となっています。近年、訪日観光客の急増等により、来訪者の受入環境の確保等が求められており、本地区において適切にホテル計画を誘導していく必要が生じてきました。ゆとりある滞在空間を備え、銀座の地域特性及び賑わいと調和するホテル計画を誘導するため、建築物等の用途の制限において宿泊の用に供する建築物について客室規模や交流機能に係る規定を新たに定めます」https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/press/puresuheisei29/201709011press.files/data.pdf

ただ、この規制には疑問を投げかける人も少なくない。この規制の試行直後、次のような意見が中央区の区長に寄せられている。

「カプセルホテルなどへの規制は区内で一律に導入するべきではないと思います。銀座にカプセルホテルなどが似合わないのはわかります。しかし、東日本橋あたりは古いビルが生まれ変わることで活気が出てきました。現実を無視した規制には反対です」https://www.city.chuo.lg.jp/smph/kusei/mayor/kutyohenotegami/toko29/3001gaiyo.html

これに対する中央区の都市整備部の回答は次の通りだ。

「地区計画は、まちの地域特性を踏まえた個別建て替えのルールを定めているもので、必要に応じ改正しています。また、全地区の地区計画を一律の規制や内容とするのではなく、各地域の特性などに応じて適切な内容となるよう検討しています」https://www.city.chuo.lg.jp/smph/kusei/mayor/kutyohenotegami/toko29/3001gaiyo.html

区長に寄せられた手紙に書いてある「生まれ変わることで活気」というフレーズは、新たなビジネスモデルが誕生する昨今、街づくりを考える上で今後のポイントになる気がする。一方で従来の街の景観が「コンテンツ」として重要であれば、その景観を守るという考え方もうなずける。

ただ、上記のような議論はあってしかるべきだが、そこに別な思惑が入ってはいけないという声は根強い。それは、既得権益側の声を吸い上げすぎるということだ。最近では、ライドシェア解禁に対するタクシー業界の反発に消費者から一定の批判の声もあがっているが、銀座でも同じことが起きてはいないか。

カプセルホテルの建築制限は改めてさまざまな点を考えさせる。

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