「渋谷の新しい観光を考える会」、提言書を渋谷区長に提出 民泊最大手Airbnbの呼び掛けで2019年1月に設立された外部有識者会議

民泊仲介世界大手の米Airbnbの呼び掛けで2019年1月に設立された「渋谷の新しい観光を考える会」が提言書「『回遊性の高い街 渋谷』の実現に向けて」を作成し、5月28日、同区の長谷部健区長(47)に提出した。

同会は「観光や地域課題に関する有識者ならびに地域住民の方々による外部有識者会議」という位置付けで、提言書は2月8日と3月6日に開いた会議での議論を経て作成された。

提言書は「背景」「課題」「『回遊性の⾼い街 渋⾕』の実現に向けた具体的なアクション」「渋⾕区に対する提⾔」「終わりに」の5部構成で、具体的には下記の通りとなっている。(※詳しい内容は「渋谷の新しい観光を考える会_提言書」からダウンロード可能)

1. 背景
訪日外国人の増加に伴い、渋谷区にも来訪者の増加が見込まれるため、東京の主要観光エリアとして宿泊施設不足の解消や多様な観光ニーズへの対応が求められる。その受け皿の一つが「民泊」となっている。現在、渋谷区はハチ公やスクランブル交差点あたりに観光客が集まるが、訪問場所が限定的で、滞在時間が短くなり、一過性の経済効果しか得られていない。また、渋谷区は「若者の街」と言われるように”あらたな文化を生みつづける街”として、文化的多様性の受容、発信する街としての魅力がある。ファッション、音楽、アートなどで引き寄せられたアーティストが渋谷区で創作活動を行い、そしてそのアーティストが渋谷区のさまざまなエリアで作品を生み出せば、新たな観光客資源として、さらなる観光客の増加、作品を見て回るという回遊性を高めることにもつながる。

2. 課題
1)渋⾕区における観光客の滞在時間の短さを打破できる観光ニーズが把握しきれていない
2)⺠泊提供者と地域住⺠等との相互理解・関係性不⾜

3.「回遊性の⾼い街 渋⾕」の実現に向けた具体的なアクション
1)観光ニーズを把握し、滞在時間を延ばすためのアクション
・外国⼈観光客に対する観光動機調査の実施
・徒歩観光促進のための動線(推奨ルート)の整備
・推奨ルートのブランディング化のサポート
・推奨ルートをより楽しめる Map 作成
2)⺠泊提供者と地域住⺠等との相互理解・関係性不⾜解消のためのアクション
・メディアなどを活⽤した⺠泊に関する情報発信
・定期的な勉強会/交流会の実施
・地域の店舗と⺠泊が連携したサービス等の仕組みづくり

4. 渋⾕区に対する提⾔
1)観光ニーズを把握し、滞在時間を延ばすため渋⾕区に望むアクション
・渋⾕区も含めたクロスセクターでの議論の実施
・アーティスト⽀援をキーとした⻑期滞在・回遊に適した街づくり
2)⺠泊などの新たな宿泊の提供者と地域住⺠等との相互理解・関係性不⾜解消のために渋⾕区に望むアクション
・おためし⺠泊やイベント⺠泊の実施⽀援

5. 終わりに
「回遊性の⾼い街 渋⾕」を実現し、渋⾕観光の活性化につなげていくためには、渋⾕区と 「渋⾕の新しい観光を考える会」が連携し、⼀体的・総合的に上記のようなアクションを実施していくことが 必要です。 本提⾔にあるアクションを渋⾕区と⼀緒になって進めることで、共に渋⾕区の未来を作り上げていきたい と考えています。本提⾔がその第⼀歩になることを期待しています。

同会のボードメンバーは、一般財団法人「渋谷区観光協会」の小池ひろよ事務局長と「渋谷のラジオ」ファウンダーの佐藤勝氏、「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」ファウンダーの福井盛太氏、株式会社Z代表取締役の御厨浩一郎氏。