
1000以上の民泊施設を抱える東京都新宿区と民泊仲介世界大手の米Airbnbが6月6日、民泊運営の適正化の推進や健全な発展を目的とし、連携協定を結んだ。式典には新宿区の吉住健一区長やAirbnbの共同創業者のネイザン・ブレチャージク最高戦略責任者(CSO)などが出席した。
今後具体的には、Airbnbが新宿区と連携しながら民泊ホストに法令遵守の呼び掛けをするほか、ホストとゲストに対する防災情報の提供や新宿区の観光や地域のイベントに関する情報提供を進める。
▼主な連携内容として発表された4点
- 住宅宿泊事業者等に対する法令遵守の徹底の啓発
- 住宅宿泊事業者等に対する新宿区の災害対策に関する情報の提供および住宅宿泊事業者等を通じた宿泊者向けの防災情報の提供
- 新宿区の伝統・風土等に関連した地域のイベントにかかる情報の提供
- 住宅宿泊事業者等と地域との相互理解の構築
こうした取り組みを進めることで、民泊事業の運営の適正化や健全な発展、近隣の生活環境悪化の防止、宿泊者の災害時の適切な対応、観光振興、地域住民の安心・安全の向上などにつなげたい考えだ。
式典で新宿区の吉住区長は「Airbnbにはこれまで違法物件について誠実にご対応頂いている」と語った上で、「現在は例えば地震のときなど短期宿泊者に新宿区の防災情報を流す手段がないが、そうした情報をAirbnbを通して翻訳してゲストに周知して頂ければ」などと述べた。さらに「街の中に玄関帳場を設置することで、街中を観光させるような仕組みを作りたい」とも話した。
AirbnbのブレジャージクCSOは「Airbnbはゲストとホストに選ばれるパートナーとなるだけでなく、日本の地域のコニュニティにとっても良きパートナーとして活動していきたい」と話した上で、「2020年の訪日外国人4000万人、2030年の6000万人という日本の目標に対し、Airbnbとしても協力していきたい」とも語った。
■新宿区の民泊施設は1070件
新宿区では民泊施設が右肩上がりに増えており、5月31日現在で1070件の民泊施設を有している。一方で民泊に関する苦情件数も増加しており、2018年度の件数は570件に上った。
主な苦情内容として発表されているものの中には、「違法民泊の通報」や「宿泊者のマナー違反(ごみ、騒音、たばこ)」、「手続きの不備(標識の未設置、事前説明)」などが含まれている。