北海道倶知安町、全国初「定率制」での宿泊税導入 税率は2%、民泊も対象 なぜ定率に?

倶知安町法定外税に係る有識者会議の様子=出典:倶知安町公式サイト

北海道の有名観光地の一つであるニセコ地区にある北海道倶知安町が11月1日、全国では初となる「定率制」での宿泊税を導入した。民泊を含む宿泊施設が宿泊税の対象となる。

宿泊施設側が宿泊者から宿泊料金の2%を宿泊税として徴収し、1カ月分をまとめて翌月末日までに倶知安町に申告して納める形となる。宿泊料金については具体的には、「1人1泊、1棟1泊、1部屋1泊の宿泊料金の2%」と定義されており、ホテルや旅館、民宿、ペンション、民泊などが対象となる。

徴収した宿泊税の目的にについて倶知安町は「倶知安町が世界に誇れるリゾート地として発展していくことを目指し、地域の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に充当します」と説明している。

幼稚園〜高校の修学旅行や研修旅行に参加する子供や教員のほか、職場体験やインターンシップに参加する中学生〜専門学校生・大学生は、学校から届出を行うことで宿泊税が免除される。

倶知安町は宿泊税を「定率」にした理由と「2%」にした理由を下記のように説明している。ほかの自治体とは異なる形になった理由として、ぜひ参考にしてほしい。

■なぜ定率にしたのか?
 宿泊税の検討を始めた当初から、宿泊事業者の方から「定率」を望む声がありましたが、当時は、北海道でも「観光税」の検討がされていたことから、北海道と倶知安町の両方で課税する場合、その課税方法が異なると特別徴収義務者である宿泊事業者が徴収時に混乱をきたすため、北海道が考えていた「定額制」に揃える必要がありました。また、全国の先進地事例でも「定率制」が導入された実績もなく、消費税との兼ね合いからも定率制の導入は疑問視されていました。
 しかし、本町の地域特性として、コンドミニアムの部屋貸しや戸建ての1棟貸しを行う宿泊施設も多く、そのような宿泊施設では、宿泊人数によって一人当たりの宿泊料金が異なってくることから、宿泊人数に応じた一人当たりの宿泊料金を算出しなければならなく、特別徴収義務者の徴収手続きを簡素化するためにも、定率制の導入は好ましいことでありました。
 その後、北海道の「観光税」の検討が減速し、北海道と課税方法を揃える必要がなくなったことから、①もともと宿泊事業者の方から定率での要望があった、②税の三原則のひとつである「簡素」と倶知安町の地域特性に配慮した、③倶知安町法定外税に係る有識者会議においても定率制での導入に同意を得た、これらを総合的に判断して定率制の導入を決定しました。

■なぜ税率を2%にしたのか?
 法定外税目の税率は、課税自主権に基づき、納税者にとって過重な負担にならない額で、各自治体がそれぞれの地域の実情や納税者の担税力に応じて、各自治体が独自に設定するものと解しています。
 本町が宿泊税を財源として取り組む5つの個別施策を実施する場合、概算で3億から4億円の事業費が必要になると推計し、その事業費に必要な財源確保として2%の税率で計算した宿泊税が必要になること、また、その場合、諸外国の宿泊税は1%から始まり、事業費に応じて経年で税率を順次引き上げていくことが通例となっていますが、本町をはじめとして国内では、税率の引き上げには抵抗感があり、短期間での引き上げにならないように2%に設定しました。

上記などを含めた詳しい中身は「倶知安町の宿泊税に係る資料 令和元年(2019年)年7月1日現在」からも確認できる。