民泊仲介世界最大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)は11月19日、東京都内で記者発表会を開き、国際オリンピック委員会(IOC)と「TOP(The Olympic Partner)」パートナー契約を締結したと発表した。「2028年までに数十万人規模の新たなAirbnbホストが宿泊施設と体験の提供を通じてオリンピック・ムーブメントを支えます」と説明している。
Airbnbは2016年のリオデジャネイロ五輪や2018年の平昌冬季オリンピックでも代替宿泊施設の公式サプライヤーなどとして開催を支援してきた経緯がある。今回のパートナー契約期間は来年の東京オリンピックを含む2020〜2028年で、主な取り組みとして新たに「Airbnbオリンピアンによる体験」カテゴリを創設することも明らかにした。五輪選手のセカンドキャリアに結びつけることも狙いだという。
記者発表会では日本が2030年までに訪日旅行者数6000万人を目指していることに触れ、東京オリンピックを機に新たに民泊を日本国内でスタートする人を支援することを強調した。記者発表会でAirbnbの日本法人Airbnb Japanの田邉代表取締役は「ホストになることを通じて多くの人にオリンピックに参加してほしい」と語った。
また各地で実施される「イベント民泊」のホストも積極的に募集していくという。Airbnbはこれまで岩手県釜石市や熊本県など6自治体と連携し、ラグビーW杯などの国際スポーツイベントに合わせたイベント民泊を支援してきた実績がある。
また東京オリンピックとパラリンピックに合わせ、ファミリー需要や長時間滞在の需要のほか、車イスの人が多く宿泊することも考慮し、ユニバーサルデザインの宿泊施設を含めた多様な宿泊施設をサイト上で提供できるよう努めることなどにも触れられた。

■田邉代表取締役「大会の観戦者の満足度を向上」
田邉代表取締役は記者会見で「多種多様な宿泊施設の選択肢を提供できることは東京2020年大会の観戦者の満足度を向上させるために重要と考えています」と述べている。
また新たに開設する五輪選手による体験カテゴリについて「五輪選手にはさまざまな知識があり、そうした知識を活かした新たなセカンドキャリアの可能性を提供していきたいと考えています」とし、「ますますスポーツを通じた交流が生まれることに期待しています」とも述べている。本格的な日本でのカテゴリーローンチについては来年の夏の前を予定しているという。
■Airbnb、世界で700万規模、日本で9万件規模に
Airbnbのアクティブリスティング数は191カ国で現在700万件以上。日本における宿泊可能物件数は9万件に上っており、その内訳は6万件のリスティングとホテルや旅館などの3万部屋と説明されている。2018年7月に日本全域に対象範囲を拡大した体験プログラムも、現在2000件まで増えている。