報道によれば、三重県の鈴木英敬知事は国に対し、緊急事態宣言の対象となっている地域からの宿泊を宿泊施設側が拒めることができるよう、国に近く要望する考えだという。
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している。報道によれば、ゴールデンウイークの大型連休中に予約が既に多数入っている三重県内の宿泊施設は少なくなく、宿泊施設側は対応に苦慮しているという。
こうしたケースは三重県だけではなく全国であると考えられ、要望を受けて国がどう対応するのか注目が集まる。
■現在の旅館業法の規定は?
旅館業法では、「宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」などを除いては、原則的には宿泊を拒んではならない決まりになっている。具体的には旅館業法第五条で以下のように規定されている。
旅館業法第五条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
二 宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。
そのため現在のところ、新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に滞在していたことや、14日間の待機要請の対象国に滞在していたこと、非常事態宣言の対象となっている都道府県の在住者であることなどのみを理由に、旅館業者側が宿泊を一方的に拒むことはできない。ちなみに住宅宿泊事業(民泊事業)ではこうした宿泊拒否の制限はない。
上記はこれまで各自治体が新型コロナウイルスへの対応として、宿泊施設の営業者に対して周知している内容だ。詳しくは「【重要】新型コロナウイルス感染症への対応について(宿泊施設の営業者の皆様へ)」などから確認できる。