民泊施設、テレワークで利用できる?来月で施行2年、ルール再確認を

かつては、空室を使って「民泊」と「時間貸し」の二毛作をしていた人もいるが、現在は見かけない。その理由は、2018年6月15日に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」のルール上、認められるものではないと解されているからだ。

民泊新法では「住宅」の定義について、第二条の二において以下のように「人の居住の用に供されていると認められるもの」という記載がある。

二 現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当すること。

さらにこの「人の居住の用に供されていると認められるもの」については、民泊新法の施行規則第二条で、さらに以下のように定められている。

第二条 法第二条第一項第二号の人の居住の用に供されていると認められる家屋として国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、次の各号のいずれかに該当するものであって、事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く。)の用に供されていないものとする。

つまり民泊新法では、使用する住宅において「事業(人を宿泊させるもの又は人を入居させるものを除く。)の用に供されていないもの」であることが求められているわけだ。

■「「宿泊以外の用途(時間貸し等)で利用させないで」

こうしたルールがあることから、各都道府県が民泊事業者向けに配布しているガイドラインなどにおいても、宿泊以外の用途で登録施設を利用しないよう明確に求めている。

例えば東京都の産業労働局が公表している「住宅宿泊事業ハンドブック」では、以下のように「宿泊以外の用途(時間貸し等)で利用させないでください」という記載がある。

つまり民泊施設では、賃貸やマンスリーなど「人を入居させる」事業については認められているが、時間貸しはNGというのが原則的なルールであると言える。

■民泊新法が施行されて来月で2年

民泊新法が施行されて来月で2年になる。当時は内容に関してかなり注目されたが、少し時間が経ったこともあり、当時よりは法律そのものに対する世間の関心は低くなったかもしれない。

現在はコロナ禍で民泊のさまざまな活用方法が模索され、リモートワーク(テレワーク)を前提とした「時間貸し」もその一つであると言えるが、改めてこうしたルールについては、民泊事業者や関連ビジネスを展開する企業はしっかりと認識しておきたいところだ。