民泊新法はいつから?旅館業法、民泊条例との違いや注意点

民泊新法、旅館業法、民泊条例の違いは?

民泊新法の成立ののちに施行されると、「合法民泊」事業を展開する上での指針となることは確実だ。一方、現在の日本においては民泊に関係してくる法規制として旅館業法と民泊条例も存在する。

行政への手続き者は誰か、行政への申告形態は、営業日数や宿泊日数の制限は、苦情の受け付け者は誰か、行政の立ち入り検査はあるのか、フロント(受付)を設ける義務あるのか・・・。民泊新法と旅館業法、民泊条例においては、それぞれの項目で同様の規制であったり、異なる点が存在していたりしている。

これらを混同すると、事業展開を進める上で法律上のリスクを知らず知らずのうちに抱え、行政指導や事業停止などを受けてしまう可能性が高まる。そういった理由からも、この3つの法規制の違いについて理解することは、民泊運営者にとって有益であることは間違いないと言えるだろう。

  民泊新法 民泊条例

旅館業法

(簡易宿所)

  ホームステイ型 家主不在型 大阪府の場合
営業日数上限 180日 180日 なし なし
宿泊日数制限 なし なし 2泊以上 なし
苦情受け付け 家主 管理者 事業者 事業者
フロント設置 不要 不要 不要 不要
火災報知器設置 不明 不明 必要 必要
行政手続き 家主が行う 管理者が行う 事業者 事業者
行政申告形態 届出制 登録制 認定 許可

旅館業法の概要

旅館業法は1948年に公布・施行された法律で、厚生労働省が所管している。全82条からなり、旅館業の業務について定めている。今から70年近くも前に施行された法律であるがゆえ、「民泊」を想定した内容になっていない。

主な特徴としては、「許可制」であることや住居専用地域での営業が認められていないこと、自動火災報知器の設置が必要であること、部屋の床面積の下限(3.3㎡)が決められていること、などが挙げられる。メリットとして最大の点は、民泊新法で制限される見込みとなっている年間営業日数(180日)がないことだ。

一方で、事業を始めるに当たっては行政側から許可が必要であることから、ビジネスとして開始する上でのハードルは高めだ。フロント(受付)にスタッフを常駐させる必要があることや火災報知器を備え付けることなど、考慮しなければいけない項目は多く、事業を始める際の初期費用も大きくなる。

旅行業法の全文は、電子政府の総合窓口「e-Gov」の法令データ提供システムから閲覧することができる。旅行業法の全文のリンク先は「http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO138.html」。

特に注目すべき条項について、下記の通り引用する。

第1条 この法律は、旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

第5条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。宿泊しようとする者が伝染病の疾病にかかっていると明らかに認められるとき。宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

第6条 営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、当該職員の要求があつたときは、これを提出しなければならない。宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。

民泊条例の概要

現在、民泊条例を制定している自治体は、東京・大田区や大阪府、大阪市などだ。

民泊新法がまだ施行されていない現時点において、政府が認める「合法民泊」は、地域限定で規制緩和を行う「国家戦略特区」(後ほど詳しく解説)においてのみ、一定の条件下で容認される形であることを理解しておきたい。東京・大田区と大阪府、大阪市は、いずれもこの特区として指定を受けているおり、その上で民泊条例を施行している。自治体によって民泊条例の中身には若干の差があるが、大枠に大きな違いはない。

この国家戦略特区における民泊は「特区民泊」と呼ばれ、新聞やテレビにおいててもたびたび耳にすることが既に多かった。しかし民泊新法が施行されれば、特区に指定された地方自治体に限らず「合法民泊」での事業が可能となることから、全国的に民泊がさらに増えることは確実視されている。

「特区民泊」には最低宿泊日数が定められている。当初は「6泊7日以上」とされていた制限が「2泊3日以上」と緩和されたものの、1泊のみの利用は現時点においてはそもそも条例内で想定されたものではなく、特区民泊の大きなデメリットの一つとして挙げられている。

一方で特区民泊は、旅館業法の緩和という見方をするのであれば、施設や設備に関する条件や受け付けやフロントにスタッフが常にいる体制を構築する必要がなくなり、人件費や設備投資に掛かるコストは大幅な削減を促進するものとなっている。これは大きなメリットの一つと言える。

大阪府の民泊条例(大阪府国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例)は全8条から成り、重要な要素を多数含む。下記に特に注目すべき条文を引用する。

第3条(立入調査) 知事は、法第十三条第九項の規定の施行に必要な限度において、その職員に、同条第四項に規定する認定事業者(以下「認定事業者」という。)の事務所又は令第十二条第一号に規定する施設(以下「施設」という。)に立ち入り、法第十三条第四項に規定する認定事業の実施状況について調査させ、又は関係者に質問させることができる

第4条(手数料) 法に基づく事務に関し、次の表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に定める金額の手数料を納付しなければならない。

一     法第13条第1項の特定認定を受けようとする者     21,200円

二     法第13条第5項の規定により変更の認定を受けようとする者     10,500円(法第13条第5項の変更であって、同条第一項の特定認定を受けた事業の用に供する居室と同一の施設内において当該居室と同一の規格の居室を当該事業の用に供するもの、居室の数を減少させるもの又は施設の構造、面積、設備及び器具の変更を伴わないものにあっては、2,500円)

民泊新法と民泊条例、旅館業法の主な違いについては、下記の表の通りとなっている。これまで説明してきた各項目の中で、営業日数の上限では「180日」もしくは「なし」、自動火災報知器の設置などで、違いがあることが分かる。

民泊で違法になるケースとその摘発事例とは?