民泊+α、”通訳案内”を収益源に 法改正で無資格でも可能に 地方でニーズ高く

 観光庁は、通訳案内士法改正の背景や必要性について、地域における受け入れ環境の整備を特に強調して掲げている。

 通訳案内士の登録人数は2016年4月時点で計2万747人。このうち都市部に住む資格保有者は1万5521人で全体の75%を占め、地方部は5226人で25%にとどまっている。

 こういった背景から、観光庁は「資格保有言語も英語に偏りがあり、量的に圧倒的に不足し、多様化するニーズに対応不可能」と法律案改正の必要性を説明している。

 また、地域独自の文化や産業の拝見・交流などを重視した旅行商品に対するニーズが、長期滞在する訪日外国人旅行者や増加するリピーターの間で高まっていることも指摘している。

 全国的に広がる民泊。地方都市などを拠点に民泊ビジネスを展開する民泊ホストが、こういった訪日観光客のニーズの受け皿になることも期待されている。

 

 少し具体的に法律の改正内容を読んでいこう。

 まず改正法では、「通訳案内士」という資格について「業務独占」から「名称独占」へと規制を見直すことで、幅広い主体による通訳ガイドを可能にする。

 これはつまり、「通訳案内士」という資格を保有していない人でも有償の通訳案内サービスを観光客に提供できるが、「全国通訳案内士」や「地域通訳案内士」という資格の名称や類似の名称は使えない、ということ。

 この仕組みは、国会試験に合格した「通訳案内士」の資格保有者が日本の歴史や文化に関する専門知識を有していることを対外的に示すために、盛り込まれた。

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