【大田区・特区民泊】最低宿泊日数の短縮検討、その理由は・・・? 「6泊7日以上」基準見直しへ

 日本で初めて「特区民泊」を導入した東京都大田区が、「6泊7日以上」と定める最低宿泊日数の短縮について、検討を開始する意向だ。

 現在、「特区民泊」が導入・認定されているのは、大田区のほか、大阪府・市、北九州市、新潟市の合わせて5府市区。このうち、大田区以外は最低宿泊日数を「2泊3日以上」としており、大田区だけが足並みが揃っていない状況だった。

 この記事では大田区が特区民泊において、最低宿泊日数の「6泊7日以上」を堅持してきた理由や短縮を検討する背景、「2泊3日以上」と「6泊7日以上」という2つの基準が存在する経緯などについて解説する。

地域 導入・認定時期 最低日数
東京都大田区 2016年2月 6泊7日
大阪府 2016年4月 2泊3日
大阪市 2016年11月 2泊3日
北九州市 2017年1月 2泊3日
新潟市 2017年5月 2泊3日

 上記の表を見ても分かる通り、現在、特区民泊の利用日数制限を「6泊7日以上」としているのは、特区民泊を導入している5府市区において東京都大田区だけだ。ではなぜ大田区だけが「6泊7日以上」としているのか・・・。

 まず「特区民泊」とは、政府が指定する国家戦略特区において、各地方自治体が制定する「民泊条例」に基づいて認定を受けて行う民泊事業のことを指す。旅館業法の適用から除外され、合法的に民泊ビジネスを展開することができるようになる。

 実は政府は当初、この「特区民泊」における最低宿泊日数を、感染症の拡大防止などを理由に一律「6泊7日以上」と定めていた。

 しかし、中長期滞在希望者の取り込みに苦労する事業者などからの要望もあり、政府は2016年10月、最低宿泊日数を「2泊3日以上」に短縮する政令改正を決め、施行。短期滞在を認めることで、より多くの企業が民泊事業に参入しやすくなるようにした。

 この政令改正を受け、「6泊7日以上」の枠組みで特区民泊を認めていた大阪府・大阪市・北九州市は、最低宿泊日数を「2泊3日以上」に短縮した。しかし大田区は最低宿泊日数の短縮に格段、慎重な姿勢を示したのだった。

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