「民泊ホストにスポットライトを当てた特別インタビューページを作成する」
7月12日、宮城県の山あいにある宿泊研修施設「ミガキハウス」。この日、古民家を改装したこの施設に、10人ほどのメンバーが集まった。
「ゲストからの予約を増やすにはどうすればいいか」。和室で机を囲んで座り込んで話し合い、ホストの人生ストーリーや特徴などを、動画や写真を使ってPRする案を考え出した。
集まったメンバーは、観光客誘致による地方経済の活性化を目指す「一般社団法人宮城インバウンドDMO」の民泊ワーキンググループに所属する担当者らだ。
東日本大震災で被害が大きかった沿岸部を含めた宮城県南地域(4市9町)。高齢化が進んでいる地域も多い。その地域において、地域経済活性化や高齢者も含む新たな雇用創出をどう目指すか・・・。その一つの方法として、外国人観光客の宿泊をこの地域で増やし、交流人口増加による活性化や宿泊需要を増加させることを目指している。
12日に行われた民泊ワーキンググループでは、宮城県南地域における民泊サービス推進において、何をコンセプトに据えるかが話し合われた。いわば、何がキラーコンテンツになるのか、また、何をキラーコンテンツにすべきなのか。そのことを話し会った。
決まったのが、「人に会いに行く旅」というコンセプトだ。
旅館業法における「簡易宿所」などの営業許可を得て、宮城県南地域で民泊を運営するホストたちにスポットライトをあてて、ホストの人生ストーリーや特色をインターネットなどを通じてPRする・・・。
さらに、住宅宿泊事業法(民泊新法)の来年施行を前に、地域住民を集めたホスト研修を開催し、宮城県南地域において民泊運営を行うホストも増やす・・・。
ワーキンググループが行われたミガキハウスは、東日本大震災の新たな復興の形として7月にオープンしたばかりの宿泊研修施設。東日本大震災から6年以上が経ったいま、集まったメンバーは新たな地域再起への思いをコンセプト決定とともに新たにした。
宮城インバウンドDMOは、人材サービス大手「パソナグループ」の株式会社VISIT東北と、同県を拠点にインバウンド誘致・ツアーコンテンツ造成事業を行う株式会社侍が設立した日本版DMO(観光地経営組織)だ。
今回の民泊ワーキンググループは、地域の人たちが一体となって民泊推進の方向性を決める重要な場となった。11日と12日の2日間、宮城県南地域の民泊関係者への視察や聞き取り調査なども行い、それを踏まえての「人に会いに行く旅」というコンセプトだ。
住宅宿泊事業法(民泊新法)は来年施行される。民泊仲介世界大手Airbnbなどを活用して、宮城県南地域の経済活性化と雇用創出を目指すその挑戦に、今後も注目していきたい。
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【株式会社VISIT東北】(http://visittohoku.com/)
パソナグループのグループ会社。東北経済活性化を目的とした、インバウンド・訪日観光に関連する事業を中心として活動している。
【株式会社 侍】(https://www.samurai.tours/)
東北への外国人観光客(インバウンド)を誘致することを目的とし、外国人観光客誘致事業、コンテンツ造成事業、研修・講座事業を軸に事業展開しています。
【ミガキハウス】(http://migaki-house.com/)
山元町のひっそりとした山中の高台にある、りんご農家さんだった古民家を、たくさんの人に協力してもらって、改修してつくったゲストハウス