日時:7月13日(木) 19時〜22時30分
場所:アウルハウス浅草(台東区浅草)
講師:児山秀幸(タローズハウス鎌倉小町:簡易宿所・合法民泊を経営、コンサル)
先月国会にて住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立し、来年の施行を控える今、民泊ホストたちは施行後の民泊運用に頭を悩ませている。
そんな中、民泊運営を始めてみたいという方から、現在運営する民泊を合法的に運用してみたいという方まで、民泊新法施行に向け、民泊大学に「復刻・民泊革命」を連載中の、簡易宿所・合法民泊のコンサルタント・児山さんが新法対策セミナーを開いた。場所は、児山さんがコンサルを行なって旅館業法の「簡易宿所」許可を取得した、台東区浅草の「アウルハウス浅草」。民泊新法、旅館業法の基礎的な説明から、実際に簡易宿所許可を取得した具体例を題材に、簡易宿所の取得のポイントや運用について解説がされた。
児山さんによると、今回のポイントは、延床面積が300~500㎡の建物の一部で300万円以下で簡易宿所を作れるということ。参加者には、色々参考になったと思われる。
セミナーの冒頭では、ここ数年民泊が盛り上がりを見せていたが、今年に入り、民泊の撤退が新規を上回る状況となってきたとの説明があった。背景としては、熱を帯びた民泊物件の供給過多による物件の収益の低下や、保健所からの指導などが考えられるとのこと。
また、民泊新法施行後に、180日規制や自治体の条例によりさらなる日数制限があるため、来年以降の民泊運用に関しては、簡易宿所を飛び越えて、改正旅館業の新旅館・ホテルの取得を推薦するとのことだった。ただ、旅館業法改正に伴う政省令改正については閣議決定が行われていないので、まだ不透明な部分が残っているそうだ。
これに付随して、旅館業の許可の種類という基本的な知識から、簡易宿所の概念についても詳細に説明。簡易宿所は本来「不特定多数の人に貸す」というのが目的。鎌倉を管轄する神奈川県は一戸建てを丸ごと貸し出すこと=グループ貸しを認めているが、東京都などはそれを認めていないとのこと。東京都の保健所で要求するトイレの数が多い理由として、不特定多数を泊めるのが簡易宿所だからという説明は非常に腑に落ちた。
丸ごと空き家を貸し出す民泊には無理やり簡易宿所を当てはめるよりも、部屋数制限がなくなった旅館・ホテルを当てはめる方が適していそうだ。
そして、許可を取得する際の「自動火災報知機」「フロント」「管理人室」「二段ベッド」「客室面積」など詳しい話を聞いた。
その後、セミナー会場となった簡易宿所・アウルハウス浅草を児山さんと見学。説明の後で実際の客室を見ると、改めて一つ一つに意味づけのあることが理解できた。
アウルハウス浅草のフロント
ベッド
通路
参加者の感想
30代男性(建築士)「民泊の新規数と撤退数のグラフが入った資料など、詳しい情報を知ることができて大変勉強になりました。」
30代男性(宿泊業)「非常にシンプルに現在の民泊状況・今後の対処法に対してのメリット・デメリットを教えていただきました。わかりやすかったです。 今後の運営の形をどうしていくかの不安に対して色々クリアになっていきました。課題は様々だと思いますが、民泊もしくはそれに付随するビジネスはまだまだ可能性があるなと感じました。 状況が刻々と変わってくるので定期的に開催していただきたいです。不動産はじめ色んなビジネスに関わっている方も多かったので良い出会いもありました。有難うございました。」
30代男性(宿泊業)「今回児山氏のセミナーを聞いて、民泊を取り巻く環境の変化を配布された資料で見て驚いた。 具体的には物件の新規登録、運営中止の推移を拝見したのだが、そのグラフが示していたのは 新規登録が鈍化し、運営中止が増加している つまり、ホストにとって、既存の運営だけでなく、今後より合法である旅館業法の簡易宿所での運営も重要な選択肢なのだ。 その点からも、簡易宿所への取り組み方の大筋を知れたのはよかった。 欲をいえば、簡易宿所を念頭においた物件選びの注意点や選定条件などを詳しく聞きたかった。」