日時:7月19日(水)19時〜
場所:株式会社メタップス(新宿区)
講師:株式会社VSbias 代表取締役 留田 紫雲
クジラ株式会社 代表取締役 矢野 浩一
株式会社チャプターエイト 高野 勇斗
民泊総合研究所を運営するメタップスグループの株式会社VSbiasと「SEKAI HOTEL」を運営するクジラ株式会社が、「空き家に悩みを抱えている不動産オーナー、不動産投資家を対象に、リノベーション&旅館業取得による空き家活用」をテーマに共同セミナーを開催した。
司会進行を務めるチャプターエイト代表取締役社長の高野氏より、先日リリースした、「ABCチェックイン」について説明があった。
当サービスは、民泊施設においてチェックイン手続きを民泊ゲストのスマートフォンで完結させ、来年施行予定の住宅宿泊事業法で備付けが義務化される宿泊者名簿をクラウド管理する新サービスである。
株式会社VSbiasは宿泊型不動産投資に特化したデータの収集・解析により、膨大なデータと最先端のテクノロジーを組み合わせて、全国3000室の宿泊施設の収益データを活用してオーナー支援を行っている。
また、同社の事業領域としてはマーケット調査・分析→企画・設計→施工管理→集客・運営→システム管理というサイクルをワンストップでサポートで行っているのが最大の特徴である。
民泊に関わる市場の動きについて、訪日外国人の推移を数字から分析した上で、開業予定の宿泊施設数を含めても今後、宿泊施設の供給過不足が予想されるということを指摘した。
地域によって差はあるが、将来的には特に東京や近畿では宿泊施設の過不足が明白とのことから、その中でも客室が不足する可能性が高い地域を選定して民泊運営を行うことで中長期的に安定した収益を見込むことが可能とのこと。
また、人気民泊物件の作り方としては、【民泊物件の収益=稼働率×宿泊単価】という構図より、収益を生むにはいかにして「稼働率」と「宿泊単価」が高い施設を作るかが最大のポイントとなる留田氏は語る。
東京都23区の過去の民泊物件の稼働率データを用いて人気物件と不人気物件の違いについて分析を行ったところ、場所の選定が非常に重要である。その中から稼働率が高いエリア、客室単価が高いエリアを絞り出して狙うことがポイントである。
また民泊運営を行う物件の特性によってどの集客サイトを使うのか、いくつ集客サイトを使うのかも異なってくるとのこと。
傾向としては、収益の損益分岐点を越えるための間取りは広い部屋の方が効率的であるというデータが出ている。
さらに収益を上げるべく突き詰めるのは、ターゲット(ゲスト)を誰にするのかということが重要である。例えば、中国の人を狙うのかアメリカの人を狙うのか、出張客を狙うのかファミリー層を狙うのかによって部屋づくりというのも全く異なってくる。
民泊を始めるに際して、以上の点のデータに基づいて詳細な事業計画を立てることが必須であるとのこと。
宿泊者に求められているものは何かを徹底的に追求する必要があると留田氏は述べた。
クジラ株式会社の代表取締役矢野氏より、「SEKAI HOTEL」を一例に旅館業・民泊業における物件探しからリノベーションについて講話が行われた。
「SEKAI HOTEL」は、中古住宅リノベーションのクジラ株式会社が大阪市此花区西九条の長屋などを改装して、特区制度にもとづく「民泊」施設や旅館業法の枠組みで営業する宿泊ブランド。訪日外国人など旅行客を呼び込み、街の活性化とホテル不足の解消につなげることを目的としている。
一般的なホテルがフロントや飲食店、物販店などが1つの建物内にあるのに対し、それぞれが地域の空き家に分散するのが特徴。宿泊客は西九条駅徒歩2分の場所に設けられているフロント施設に立ち寄ってチェックインを行い、そこから徒歩で客室に移動する。
クジラ株式会社は不動産と建築業を行っている会社で、空き家をリノベーションで再生していくという取り組みを行っている。
民泊業・旅館業を開始する際には、物件探しから始めるがその過程ではソフトとハードの両方に注力するとことが必要であると矢野氏は解説する。
このフローの中で、最も難易度が高いのが許可申請である。
理由としては、申請は行政の方とのやり取りが必要なので時間や労力も多く使うということと、何より物件が法的な基準をクリアすることが一番のポイントとなる。
そこでクジラ株式会社では物件探しから申請手続きも一貫して行っていることから、どのような作りであれば申請が通るのかということを専門の建築士が立ち会いのもとリノベーションの計画を行っていることが強みである。
また、物件探しの段階でもあまりいい物件を見つけ出すことができないという声を多く聞くが、不動産の物件情報が一般に流れてくるまでには上記のように多くの業者を挟んで公開されてくる。
安くていい物件が回ってこない理由としては、ピラミッド上部の権力をもつ不動産会社等が優先的に買ってしまうからとのこと。
ピラミッド上部で売れなかった場合は、副業で不動産業を営む企業や資産家などの様々な経路を経てやっと世に出てくるものが初めて公開される。
以上のような構図から、一般個人がいい物件に出会う確率というのはかなり難しい。しかし、クジラ株式会社では、上記過程で誰も気づかなかった伸び代がある物件を探し出し、リノベーションを行なって良い物件にすることができるというのが最大の強み。
その一例を以下資料にて解説。
(↑購入時の物件状況)
駅から徒歩5分という好立地でありながら老朽化がかなり進んでおり、900万円という価格で購入。
(↑リノベーション後)
リノベーションに800万円、インテリアに110万円という費用をかけて見事にリノベーションを行うことで「SEKAI HOTEL」の一室として生まれ変わった。
最後に、これから大手や外資の企業がたくさん入ってくることになると思うがそこにも負けないオンリーワンを造るという想いを述べて締めくくった。
・クジラ株式会社 サイトURL:http://www.kujira-mall.co.jp/
・SEKAI HOTEL サイトURL:https://www.sekaihotel.jp/
当セミナー主催者である株式会社VSbiasの代表取締役留田氏の感想
「民泊新法の施行などに伴い、これから民泊に参入する個人オーナー、法人オーナーの方も多いかと思います。当社では長年民泊に精通しているので、民泊でつまずくであろうポイントについて、これから始める方の知識が深まれば幸いです。」