シェアリングエコノミーの普及・推進を目指しているシェアリングエコノミー協会主催の「MeetUp Vol.6」が21日、東京都千代田区の永田町にある同協会本部で開催された。観光庁の前観光産業課長による「民泊最新動向!今後の普及に向けて」と題した基調講演のほか、民泊仲介世界大手AirbnbやHomeAwayなどを始めとした民泊業界のメジャープレイヤーによるパネルディスカッションも開かれた。
MeetUpには、シェアリングエコノミーに関わる企業の経営者や事業責任者のほか、シェアリングエコノミーで共助社会をめざす自治体や非営利団体(NPO)、大学研究機関の担当者などが計約200人が参加した。
MeetUpの冒頭行われた基調講演では、観光庁の前観光産業課長である西海重和氏がインバウンド関連の市場規模と今後の可能性などについて、数値データを用いるなどしながら解説した。
- 飛行機や船で来訪外国人数が多いという日本と同じ境遇であるスペインは、年間の来訪外国人数が6000万人規模。日本にもその規模になれる可能性が十分ある。日本国内で宿泊施設の稼働率が高くなっている地域としては、国際線の就航が多い北海道や福岡のほか、海外からのクルーズ船が多く運航している熊本など。クルーズ船による観光客増には勢いがあり、地方への広がりが今後加速していくと感じる。
- 民泊の今後の展望としては、全国に820万戸あると言われる空き家が活用できることは大きな可能性を秘めている。「古民家を活用した民泊や簡易宿所」「住宅形態に近い特区民泊」というように、ゲストのあらゆるニーズを受け止められる民泊の受け皿を増やし、利用者の需要に応えていければ良いと思う。
- 簡易宿所などについては、今後は街の1カ所にフロントを設置して、そこから地域に点在した客室にゲストが泊まりに行けるというような仕組み作りも行なっていきたい。そのことにより、地方への訪日客の増加を促し、訪日客を年間4000万人や6000万人にするという道筋を作っていきたい。
その後に開催されたパネルディスカッションは、旅行情報サイト「Travel.jp」などを運営するベンチャーリパブリックの柴田啓社長をモデレーターに開催。前観光産業課長の西海氏のほか、Airbnb Japan公共政策担当部長の山本美香氏、HomeAway日本支社長の木村奈津子氏、空きスペースの時間貸し仲介などを手掛けるスペースマーケットの石原遥平弁護士(社長室付)が参加した。
パネルディスカッションでは、住宅宿泊事業法(民泊新法)の内容や民泊業界の今後の展望などを中心に議論。弁護士である石原氏は「法律をしっかりと理解して、事業者は何をしていかなければいけないのかを考えた上で、ユーザー目線の民泊市場形成を担っていってほしい」と想いを述べた。木村氏は「今まではC2C(個人間取引)のサービスだった民泊が、来年からは合法化による大手の参入でB2C(企業対個人)になってくる」と強調した。
山本氏は「我々は今後、旅の本格的なプラットフォームとして活躍していくにあたって、ホストとゲストのマッチングの精度をあげていきたいと思っている」と強調した上で、「機械学習など先進技術を活用し、効率化を図っていきたい」と語った。
またMeetUpでは、同協会が今年6月に導入開始したシェアリングエコノミー認証制度についても説明。認証マークの取得方法についてや最新の実践状況についても解説した。
民泊大学はMeetUpの終了後、参加者に感想を聞いた。
- 20代男性 政府からの大きな後押しがあることが実感できたので、これから民泊市場はさらに発展していくと思った。事業者としての目線では、これからは民泊を行う上でトラブルなど多く発生していくと思うので、カスタマーサービスという立場からフォローが必要になってくると思う。
- 20代女性 国内外で民泊を利用したことがあって、自分自身でも民泊を運用したいと思っていた。政府による歯止めが効かないほどの広がりで、ユーザーはすでに存在しているということがデータからわかった。あとは制度をしっかり整えて、いかに安全に市場を盛り上げていけるのかということが重要だと感じた。
- 40代男性 住宅宿泊事業法(民泊新法)成立に関しては喜ばしいことだが、少し遅かったという気もする。年間営業日数の「180日規制」というのもおかしい。もっと民泊を規制緩和して、同様にホテル業界の規制緩和もすればいいと思う。アメリカだと1人1物件という制限をかけたりしているが、そういうものに倣ってもいいのではと思う。
- 30代女性 シェアリングエコノミーの会員になって初めてMeetUpに参加した。民泊の市場に関しては、やり方次第では大きく広がっていくのではないかと思う。先日たまたま機会があったので初めて実際に民泊を利用し、イメージが変わった。利用しないと民泊の良さがわからないことが、民泊市場が広がっていく上で難しいところだと思うので、うまく日本人にも民泊の良さが伝わっていくことが、民泊市場拡大の大きなポイントの一つになってくるのではないかと思う。