【民泊最前線#7】180日を巡る攻防 Airbnbが運用代行会社と提携する理由

  空き部屋や空き家を外国人観光客に有料で貸し出す「民泊」のルールを定めた民泊住宅宿泊事業法(民泊新法)が今年6月、与党などの賛成多数で成立した。

 来年施行予定のこの法律が成立したことにより、公認市場としてのお墨付きがついた民泊。民泊新法の成立を境に、膨脹するインバウンド市場の特にこの「民泊」需要を取り込もうと、水面下で準備を進めてきた各社の動きが表面化してきた。

 楽天(東京)とLIFULL(同)は民泊新法が成立した約2週間後、共同で「楽天LIFULL STAY」を設立した。民泊新法施行後に民泊予約サイト「Vacation Stay」を開業する予定だ。また、KDDI傘下の高級ホテル向けプラットフォーム「Relux」も民泊に参入。民泊新法で定められた都道府県知事への届出を完了した施設を掲載していく予定で、日本国内の民泊プラットフォームの戦いは激化の一途をたどっている。
 また、日本人ユーザーに強い楽天、日本国内の物件開拓に強みを持つLIFULLは、外国人ゲスト獲得に向け、欧米系バケーションレンタルに強いHomeAway、台湾に強いAsiaYo、中国最大の民泊プラットフォーム途家との提携を次々に発表した。楽天は東南アジアのMetroResidenceにも出資するなどしており、日本国内で先行するAirbnbを追撃する姿勢を鮮明にしている。

 一方、国内に5万超の物件数を持ち、圧倒的な集客力を持つAirbnbは民泊新法成立後にテレビCMを開始。日本人にゲストとしての民泊利用を促し、またホストに向けては提携戦略を開始した。 

 住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後に懸念されているのが「180日ルール」。このルールとは、年間の営業上限日数を「180日」と定めるものだ。

 民泊仲介サイト側にとっては、日本国内の民泊ホストが保持する180日分の枠(在庫)をどれだけ自社プラットフォーム経由でゲストに提供することができるかが勝負になる。

 日本では2014年ごろより「民泊」というビジネスに火がつき市場が拡大。民泊運用代行会社や管理ツールを提供する会社も、民泊市場の拡大と相まって増加し、サービスの質も日進月歩で向上し続けてきた。

 ホストがゲスト対応を円滑にする民泊管理ツールの質が高まることにより、ホストは数十、数百の物件を容易に管理できるようになった。これらのサービスが「プロホスト」にとって便利なツールとして存在感を増してきた。

 そして2016年あたりから、Airbnbのホストや運用代行会社数が劇的に増え、物件の供給数が増加。供給過多のエリアが増え、それまで好調であっても、徐々に思うような収益を得られないホストや運用代行会社が増えてきた。同時期に、AgodaやAsiaYo、HomeAwayなどの民泊プラットフォームが国内市場に参入。ゲストの予約数を維持するため、Airbnb以外のプラットフォームを併用する代行会社や管理ツール会社が増えてきた。

 2017年春より、Airbnbは民泊新法後の対策のためにホストを囲い込む戦略を加速。自治体や賃貸管理組合、観光庁との連携以外に、有力な運用代行や管理ツールの会社との連携を進めた。

 しかし、提携の契約をめぐっては、Airbnb以外の民泊サイトとは提携しない、との縛りが設けられているという。ある企業の担当者はこう話す。「いくら囲い込みのためとは言え、このAirbnbの独占的な契約内容は、健全な民泊市場の拡大に害をもたらすのではないか」

 民泊運用代行会社や管理ツールを提供する会社側にとっては、Airbnbとの契約を重視する理由がある。それが「API」の存在だ。「API」とは、外部から情報の連携を可能にするシステムの仕様のこと。AirbnbとのAPI連携とは、Airbnbで掲載されている民泊物件の予約状況などを自社のシステムと連携することをいう。

 実は、Airbnbの運用代行会社や管理をサポートするツールを提供する企業の多くは、Airbnbの非公式なAPIを取得し、それを元にツールを開発してきた。
 日本国内ではAirbnbを活用して民泊ビジネスを行うホストが圧倒的に多い。仮に、もし非公式APIが遮断され、Airbnbからデータの取得ができなくなることは、イコール、運用代行会社にとっては収益化を断念せざるを得ないくらいのポイントになっていた。

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