「違法民泊」で賠償3200万円求め提訴 大阪のマンション組合 中国人所有者ら「社宅だ」 Airbnbや自在客で集客

大阪の繁華街ミナミにある分譲マンションの管理組合が3日、管理規約に違反して「民泊」を営業して居住者が平穏に暮らす権利が侵害されたとして、部屋の所有者である中国人や日本人、管理代行業者らを相手取り、民泊営業の停止や計3267万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。

マンションはオートロック式で、15階建て(全約100戸)で築10年。大阪の観光名所である道頓堀の間近に位置する。管理組合側がマンションの防犯カメラの画像や入管記録などを確認したところ、少なくとも5戸で民泊が営業されており、そのうち2戸は中国在住者の所有とされている。

訴状などによると、同マンションのこれらの部屋では、3年ほど前から民泊仲介世界大手「Airbnb」や中国の民泊仲介サイト「自在客」などを通じて、アジアからの外国人観光客向けに民泊営業が行われていた。マンション内では、たばこの吸い殻やゴミを廊下で捨てたり、夜中に部屋で大声を出すなどしたり、エントランスでたむろしたりすることなどが問題になり、居住者である住民から苦情が多数あがっていたという。

このため同マンションの管理組合は2016年に管理規約を改定し、民泊を禁止。1日5万円の違約金も定めた。その後、民泊営業をしていたと思われる部屋の所有者に民泊を止めるよう求めたが民泊が続けられ、今回の提訴に踏み切ったという。

訴状などによると、部屋の所有者らは、所有する部屋を自分の会社の社宅にしており、自社の従業員が宿泊・滞在に使っていると主張しているという。司法関係者などによると、所有者側が民泊をしてないことの主張を続ける場合、民泊の事実認定が争点の一つにもなる可能性もあるという。

大阪市では国家戦略特区制度に基づく「特区民泊」の認定を受けたり、旅館業法における「簡易宿所」などの許可を受けていれば合法的に民泊を営業することができるが、この5戸はいずれの許可も受けていないという。

また例え認定を受けていても、特区民泊ではマンションの管理規約に違反しないことが要件となっており、今回の5戸は認定を受けていたとしても規約違反により合法的な営業はできない形となる。

大阪市では実は今年1月に、同様の裁判が行われ、判決が出ている。

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