全国初、宿泊料1万円未満にも課税か 京都市、来年度にも宿泊税導入 民泊新法の届出物件も対象

日本国内で初めて、宿泊料金が1万円未満の場合も課税対象とする宿泊税が、京都市で来年度にも導入される見込みとなった。住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後の届出物件も課税対象に含まれる。ホスト側がゲストから税徴収し、地方団体に納める形となる。

この宿泊税導入の見通しは、7日、京都市の新たな財源を議論してきた有識者委員会が、導入に関する内容を門川大作市長に答申したことで明らかになった。これを受け、門川市長は宿泊税創設の条例案を9月の定例市議会に提案する方針を明らかにした。

この宿泊税の課税目的は、京都を訪れる観光客の増加により生じている課題を解決していくために、その財源を確保することにある。民泊大学が確認した答申内容によると、①宿泊施設の不足②道路の渋滞③公共交通機関の混雑—の3点が主な課題として挙げられている。

日本国内において、宿泊税は既に東京都と大阪府で導入されている。両方で、旅館業法の枠組みにおける「ホテル営業」「旅館営業」は課税対象となっているが、大阪府では民泊営業などで活用されている「簡易宿所営業」も課税の対象に含んでいることが特徴だ。

東京都や大阪府も民泊新法施行後は、民泊仲介大手のAirbnbやBooking.comなどを通じて営業している届出物件も含めて課税対象としていく可能性があり、課税対象については京都市と大きくは変わっていかないものとみられる。

ただ、今回の京都市の宿泊税導入に関する答申では、東京都と大阪府の宿泊税の枠組みとは異なる点が1つある。それが「1万円未満の料金で宿泊・民泊する場合も課税対象に含めること」だ。東京都と大阪府では1万円未満の民泊・宿泊の場合、ゲスト側に宿泊税の納入を求めていない。

なぜ京都市の有識者委員会は、料金が1万円未満の宿泊・民泊も課税対象とすることを答申したのか。その理由を答申内容をもとに紐解いていきたい。

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