観光庁の来年度(2018年度)予算の概算要求が明らかになった。民泊関連予算を今年度の7,000万円から1億2,400万円に増加させる考え。住宅宿泊事業法(民泊新法)が来年施行されるため、制度運営のための管理システムやコールセンターの運用などを開始するためだ。
概算要求資料によると、管理システムは民泊事業者から申請情報などを集める仕組みのもので、地方自治体などの関係行政機関でその情報を共有する。コールセンターは「民泊110番」を設け、近隣住民からの苦情・通報を受け付けるもの。
1億2,400万円は「訪日プロモーションの抜本改革と観光産業の基幹産業化」予算における「健全な民泊サービスの普及」費用として計上されている。そのほかの計上予算における民泊関連分野も含めると、実質的に去年の7,000万円からの倍増規模になると言えそうだ。
訪日プロモーションでは、米国・ヨーロッパ・オーストラリア(欧米豪)市場からのインバウンド取り込みを強化する。現在、訪日旅行者の84%がアジア地域からの旅行者で、政府が掲げる「2020年4,000万人」の達成に向けては、全体の12%にとどまる欧米豪市場からの集客力強化が急務と判断したためだ。
欧米豪地域からの集客には、現地のコンサルティング会社やPR会社の知見活用や現地のテレビや交通広告、SNSなどを使った広告・宣伝を展開するほか、ラグビーW杯や東京五輪などのイベントを活用した広報、現地の富裕層向け旅行会社の招請などを実施する。
アジア地域に対しては「口コミ対策」を強化。パワーブロガーやSNSを効果的に活用するほか、航空路線やクルーズ船の誘致強化、ムスリム市場の分析と情報発信の充実などを図る。